サービス利用中の不満

契約した後は、呼んだときに来てくれなかったとか、ちょっとしたことを頼んだだけなのに高額な料金が発生した、などの「思ったようなサービスではない」ことがよくあります。ただ、事業者が悪いかというとそうとは限らず、いつでも無料で対応してくれる家族と比べるとこのように感じられがちだという一面もあります。「家族代わり」という言葉はとても魅力的ですが、同時に危険でもあります。理想化した家族の姿をそのまま事業者に期待し、何でも安価でしてくれると思ってしまうからです。

これらのことを踏まえて作られたのが、「『身元保証』や『お亡くなりになられた後』を支援するサービスの契約をお考えのみなさまへ」というパンフレットです。厚生労働省の調査(日本総合研究所が実施)の中で検討・作成されたもので、厚生労働省の通知や消費者庁の事務連絡によって地方自治体への周知が行われているものですが、個人向けのメッセージとなっていますので、機会があればご覧ください。

前半の記事で書いたように、身元保証事業にはまだ決まった定義がありません。あくまで、契約に基づいて自分のしてほしいことを有償でしてもらうという、非常に原始的な状況であるといえます。つまり、自分のしてほしいことは何なのか、いくら支払うことができるのかをよく見極めて、事業者との契約を行うことが消費者側にも求められます。

「老後の不安を解消したい」「いざというときに頼りたい」といったレベルではなく、老後の何が不安なのか、いざというときはいつなのか、何を助けてほしいのか、という点を具体化し、身元保証事業者がそれに対応してくれるのか、いくらかかるのかを確認していかねばなりません。

また、契約をしたら、自分が意思表示できない状態になっても(つまり「いざというとき」)、この契約があることが人に分かるようにしておくことが必要です。身元保証事業者の多くは、緊急時の連絡カードを用意し、それを家に掲示したり財布に入れておいたりするよう推奨しています。