多くの名所旧跡に恵まれる風光明媚な琵琶湖周辺

30代前半に滋賀県大津市に赴任したことのある筆者だが、子供を連れての休日の行楽先は、大津市から車で国道1号線を走り、旧跡「逢坂の関」近くを過ぎるとすぐの京都市が多かった。幸い、滋賀県内に点在する営業所へは最低でも月に1回は訪問していたので、各拠点を中心に各地の景勝を少しは愛でることができた。しかし、滋賀を離れた後、名所旧跡をいま少し深堀りしなかったことを後悔したものだ。仏像にしても京都・奈良に勝るとも劣らないものが数多く存在する。

「琵琶湖周航の歌」は、滋賀の地を思い出しながらカラオケで歌ったりするが、その歌詞に出てくる竹生島(ちくぶしま)も忘れ難い。琵琶湖の北部に浮かぶ神秘的な、神様が住むとされる信仰の島・竹生島へ、大津港から家族と共に遊覧船で行ったことが懐かしい。

琵琶湖を一周すると約200キロメートルになるが、最近は自転車で一周する人が多く、ビワイチ(琵琶湖一周サイクリング)が盛んだ。長距離のため、宿泊もしながら琵琶湖大橋、彦根城などへの観光も織り込みつつ、風の旅を楽しむことができる。また、指定のチェックポイントを通過して完走した場合には、「びわ湖一周サイクリング認定証」が授与されるおまけ付きだ。

かつては琵琶湖などの水運が活用されていたため、滋賀県は交通の要衝であった。京都を終着点とする東海道、草津または大津を終点とする中山道など、陸の交通でも大きな役割を果たした。現在も、東海道新幹線は琵琶湖のそばを疾走する。琵琶湖の南方にある草津宿は、東海道と中山道が合流する地点で、500軒以上の宿があったとされる。

まさに日本のほぼ中心地点であり、戦国武将が群雄割拠したところでもある。滋賀県は、安土城、彦根城、坂本城など、城跡が1300カ所以上もある全国屈指の“城の国”といわれる。