本質は長期保有する企業への納得感。対話を通じ受益者と共有
当時、コロナがどういうものかよくわからず、緊急事態宣言で外出もままならず、大勢の方が不安に駆られていました。そのなかで、小曽根さんがピアノを弾き、大勢の人たちの心が癒されていく。それを目の当たりにした時、音楽の素晴らしさもさることながら、やはりリアルタイムで時間を共有することの凄さを感じたのです。
その時ふと思ったのが、おおぶねシリーズを持っている受益者の方たちも、この状況下で非常に不安な思いを抱えているのではないか、ということでした。皆さんの不安に応えるために、今の自分に出来ることは一体何なのか。そんなことを、小曽根さんのピアノを聴いているうちにふと考えるようになり、オンラインミーティングを是非始めてみようと思ったのです。
もちろん運用成績も大事ですが、儲かったかどうかの結果だけに留まるのであれば、それは実はあまり本質的ではないと考えています。もちろんこれは「手を抜く」ということではありません。
私たちの投資リターンの源泉は、時間の経過とともに積みあがる企業の利益ですから、このやり方で儲けるには必然的に時間がかかります。投資である以上、ある一時期だけを切り取ると、株価が上がる時期もあれば、下がる時期もありますが、短期的な値動きに一喜一憂して売却してしまうと、本来得られるべきリターンを取り逃してしまいます。
仮に含み損になっていたとしても、受益者の皆さんが、保有する企業の素晴らしさについて納得感を持つことができれば、安心して長期保有してもらえると思います。その納得感こそが、長期運用において最も重要な要素の一つだと考えています。だからこそ、受益者の皆さんに運用の手触り感を実感していただけるようにするため、「おおぶねメンバーズ・カンファレンス」を通じて、私たちの考え方を常にお伝えするようにしているのです。
取材・文/鈴木 雅光(金融ジャーナリスト)