申し込み準備は7月から 金融機関の選択も慎重に!

8月に申し込みをするということはその前に、契約する運営管理機関・運用する商品・掛金の額を決定することと、勤務先に依頼して「事業主の証明書」という企業年金制度の加入状況を証明してもらう書類を作成してもらっていることが必要です。企業型と違って運営管理機関は自分で自由に決めることができます。7月ぐらいからiDeCoの情報サイト「iDeCoナビ」の運営管理機関比較などを使って、運営管理機関各社の口座管理料や商品を比較し、良さそうだと思う数社の金融機関から資料を取り寄せしてください。買いたい運用商品を取り扱っている運営管理機関を候補にするという選び方も良いと思います。

「数社から資料を取り寄せるのは面倒だ」と思われた方が多いと思いますが、私としてはこの手間はぜひかけて欲しいと思っています。その理由は大きく2つあります。

ひとつは、確定拠出年金アナリストとして運営管理機関を比較してみると、費用もサービスも大きく異なるからです。例えば毎月徴収される口座管理料は運営管理機関によって176円から589円までと3倍以上も違い、年間で5千円、20年ならば10万円もの差になります。コールセンターの対応力、WEBでの情報提供や加入後のフォローセミナーの有無なども大きく異なります。

2つめは、60歳以降年金を受け取り終えるまでの数十年にわたって付き合うことになるということです。つみたてNISAのようにとりあえず契約して、気に入らなければ翌年から他の金融機関で契約し、昨年までの資産は元の契約先の口座においていればいい、というようなわけにはいきません。iDeCoでは契約先を変更する際にはそれまでに積み立てた資産をいったん売却して現金化し、新しい契約先に持ち運び、ひとまとめにしなければなりませんから、残高の売買が発生しますし、移す作業の間は運用もできません。いったん契約すると他社に変更ということはあまりしないので、iDeCoの契約先金融機関は少し慎重に選んでいただきたいのです。

マッチングがある企業型DCに加入している方であれば、会社掛金が少ないときはiDeCo、一定の金額以降はマッチングを選択されるケースも多いと思うので、将来iDeCoの資産を企業型DCに取りまとめすることも見据え、移換手数料のかからない金融機関を選んでおいた方がいいかもしれません。

資料の取り寄せを数社から行うと、コールセンターに電話した時のオペレーターの対応、資料が届くまでの日数、届いた資料の見やすさに違いがあることが実感できると思います。それによって、金融機関のソフト面のサービスの質を見極めることができます。やはりこういったソフト面でクオリティの高い運営管理機関は商品やコストも加入者目線で整えられており、良いことが多いです。ぜひ、ひと手間かけて後悔しない運営管理機関選びをしてください。

企業型DCでの運用経験を活かして商品を決める

iDeCoでの運用商品の決定には企業型DCでの運用経験を活かし、ご自身のリスク許容度に合った商品配分をしてください。考え方としては2つあると思います。

①    企業型DCの運用と同じ資産配分にする
これまでの経験から値動きのブレ幅のイメージが掴みやすいのでマーケットが大きく変動しても冷静に対処できる。
②    企業型DCとは異なった値動きの資産に配分する
値動きの異なる資産に分散することは、価格のブレであるリスクの低減を図ることができる。

私はの考え方で基本的にはよいと思っています。逆にこの機会に企業型DCの配分が適切な配分になっているのか加入者WEBにあるシミュレーションなどを使って確認し、必要ならばまとまった資産がたまっている企業型DCの方も資産配分の見直しをしてください。

iDeCoの積立額を決める

お勤め先の企業年金制度ならびに企業型DCでの拠出額によって、iDeCoで拠出できる額は一人ひとり異なります。

<企業型DCのみ加入している場合>
原則2万円、ただし企業型DCの掛金と合わせて5万5千円まで

<企業型DCと確定給付企業年金にも加入している場合>
原則1.2万円、ただし企業型DCの掛金と合わせて2万7500円まで

お勤め先の退職金・企業年金制度によって違うiDeCoについて詳しく知りたい方はぜひこちらの動画を参照してください。⇒https://www.dcnenkin.jp/reform2022/