まずは長期投資からスタートがおすすめ

今まで投資・資産運用の経験が全くないようでしたら、まずはiDeCoやつみたてNISAなどの制度を利用して「長期・積立・国際分散」による投資から始めるのがよいでしょう。

こちらの記事(「支給平均額2000万円の他にもある公務員の退職金、受け取り時の秘訣」)でお話した通り、公務員はiDeCoを一括で受け取るとき、退職所得控除の枠を退職金で使い切ってしまっている可能性が高く、税金の優遇が受けづらいという面もあります。しかしそれでもiDeCoの節税メリットが得られるケースもあるでしょう。

例えば、年間14.4万円(月12,000円)を掛けた場合、所得税と住民税の税率が合計で30%とすると年間の節税額が約4.3万円。これが20年続いたとするとトータルの節税額は約86万円です。

これに対し14.4万円を3%で20年運用した場合、元本が約288万円・運用益が約106万円。最終的な金額が394万円とします。退職所得控除を使い切っていた場合、最低控除額の80万円を引いた金額の1/2が課税対象になりますので、所得税と住民税を合わせても約24万円ほどです。もちろんこれとは別に、この間の運用益は非課税となります。

iDeCo加入中の節税額も人それぞれで、最終的な金額がどのくらいになるかによっても違いはありますが、節税しながら非課税で運用できる点が投資初心者にも一歩踏み出しやすくなっています。

もう少し気軽に始めたいときはつみたてNISAも良いでしょう。iDeCoは開始前に勤務先に証明書を記入してもらう必要がありますが、つみたてNISAはこういった手続きは必要ありません。金融機関によってはiDeCoよりも少額から始めることができ、口座を維持するコストがかからないことや、途中で資金を引き出せることからも初めての投資をするときにはハードルが低いものとなっています。

まとまった退職金があるからと油断せず、様々な状況に対応できるように、自分だけではなくお金にも働いてもらうつもりで、ぜひ一歩踏み出してみてください。