メリットその4:受け取り前のひと手間で一時金受け取りの課税額を抑えられる

受け取る時の課税ですが、一時金で受け取る場合は加入期間に応じて算出される退職所得控除という額を超えた部分の2分の1だけが課税対象となります。この税金がかからない枠である退職所得控除は加入期間が20年までは1年あたり40万円、20年を超えると年あたり70万円増えていきます。

企業型DCとiDeCoの資産をどちらかにまとめてから受け取るということをすると、資産がまとまるだけでなく、それぞれに加入していた期間のうち重なっていない期間を合計して退職所得控除を計算します。つまり、まとめることによって加入期間が20年を超えるような場合は、税金がかからない枠である退職所得控除額をグンと大きくすることになります。例でまとめることの効果をみてみましょう。

企業型DCに20年以上加入していた方が60歳の定年時点で企業型DCの加入資格を喪失し、その後再雇用で働く間、iDeCoに60歳から65歳まで加入。65歳で一時金で受け取るという、ありがちなケースです。

【iDeCoに加入した5年分の退職所得控除】
①    企業型DCとまとめることなく、そのままiDeCoから受け取る場合
iDeCoの加入期間5年だけで退職所得控除額を計算するので
年40万円×5=200万円
②    企業型DCとiDeCoの資産をいずれかにまとめてから受け取る
企業型DCの加入期間ですでに加入期間20年を超えており、iDeCoの加入期間に応じて増える退職所得控除は年70万円となるので
年70万円×5年=350万円

同じ5年分のiDeCoの加入期間でも課税対象から除くことができる退職所得控除額が大きく異なることがお分かりいただけたかと思います。つまり、企業型DCの分を含めた一時金での手取り額が違ってくるということです。長い企業型DCの加入期間がある方ならではのメリットといえます。