メリットその3:企業型DCの経験を活かして老後資産を増やすことができる
そして、企業型DCに加入している方は、これまで企業型DCの年金資産の運用を長年にわたって行ってきた資産運用の経験者です。「年金情報」という企業年金の専門誌によれば、昨年9月時点の企業型DC加入者の拠出来の運用状況は、半数以上の方が年利回り3%以上で運用できていて、10%以上という高い利回りで運用できているという方も 一割を超えているそうです。 みなさん、運用巧者ですよね。
つまり、元本確保型のみで運用している方を除けば、リーマンショックや、コロナショックのようなマーケットも経験しながら、自分なりの長期・積み立て・分散投資を実践してきた方達です。iDeCoでの運用でも、その経験を生かして企業型DCと同じ資産クラスの同じような商品を選んで運用する、またはこれまでの経験から少しだけ積極的な運用にチャレンジしてみることも無理なくできるのではないでしょうか。これは、経験がある方だからこそのアドバンテージで、企業型DCに加入していた方ならではのメリットだと私は思います。
60歳以降の資産運用として、定年時に受け取った退職一時金を一気に投資してしまうような無謀なことは決して勧めません。大資産家なら別ですが、退職金というのは一般的にはその後の老後生活を支える大切な資産ですから、その全てをいきなりマーケットリスクにさらすのは危険です。
一方で、それまでの企業型DCでの運用経験から、投資する株式市場などのマーケットリスクも自分がどれくらいの元本割れ額だったら一時的なものだと乗り切っていけるのかも分かった上で、iDeCoのような形で、少額を少しずつ、さらに定時定額で価格を抑えながら投資するというのは、60歳以降の資産運用に向いていると思います。
例えば、iDeCoで積立限度額の2万3000円を60歳から65歳まで5年積み立て、3%の利回りで運用できたとすると、150万円というちょっとした額にすることができます。資産の一部を投資しておきたいのであれば、口座管理料が年間1,000円程度かかりますが、非課税で運用できるメリットを生かしてすぐに受け取らず65歳以降も運用を継続するという選択も考えてみてはいかがでしょうか。