最後に――中高年男性の“働く”が輝く「ハードワークよりも大切なこと」
今回、本著では、社会人材コミュニケーションズの代表取締役CEO社長 宮島忠文氏にもインタビューを行っている。社会人材コミュニケーションズでは、国内でいち早くミドル・シニア人材向けのキャリア開発支援事業等を行ってきた。同社では、「知命塾」というキャリア塾により塾生の能力を高め、転職等を成功させることで、その方々の活躍を広げている。
個人に向き合うことを大切にしているため、型にはめるのではなく一人ひとりの現在保有している価値を顕在化することに注力。インプット型ではなく、個人の経験値を大切にし、その経験を磨くアウトプットを重視したプログラムを提供している。宮島氏は、内的報酬欲求は高いが、ハードワーク許容度が低い中高年男性の活躍に向けて、「中高年男性は経験に価値があります。もっとも単なる経験があるだけでは他者から喜ばれません。経験から他者に提供できる自身の能力を明らかにして、さらにサービスに昇華させることにより、ハードワークすることなく付加価値を最大化でき、やりがいも得られます」と助言する。
一般的に中高年男性は「おじさん」と抽象的な表現で一括りにされることが多い。(日本総合研究所の調査は高学歴中高年男性のみを対象としたものではあるが)労働価値観の結果に基づけば、中高年男性の多様性にも目を向け、中高年男性の能力や意欲が活かされる施策を検討する余地は十分に残されていると感じる。
『中高年男性の働き方の未来』
小島明子著
発行所:きんざい
定価:1,980円(税込)