FRB利上げの影響は、まずローン金利に現れた
この40年ぶりのすごい勢いのインフレーションと、ここ2年程の好調な労働市場を背景に、米Federal Reserve(連邦準備制度)は3月に政策金利0.25ポイントの利上げ、5月頭には0.50ポイントの利上げを行いました。今後複数回にわたって利上げを継続するだろうとの予想です。
政策金利とは、Federal Reserveなどの国の中央銀行が金融機関に貸し付ける際の金利のことです。この金利は、大手金融機関同士が貸付を行う際の金利に影響を及ぼし、それが今度はプライム金利(銀行が、最も信用の高い顧客に貸し付ける際の金利)に影響を及ぼします。この意味で、Federal Reserveの政策金利はアメリカ経済全体に影響を及ぼす重要な金利ベンチマークです。
アグレッシブな利上げはいったい自分たちの生活にどんな影響があるのか、アメリカに暮らす人は不安と興味をもって見守っています。
政策金利の値上げはすぐにローン金利の上昇に反映されました。住宅ローンの金利はついこの前の2021年後半には2.50%程度まで下がっていたのですが、現在は5.00%から6.00%の間で推移しています。コロナ下で不動産市場が高騰しましたが、ここで少し値上がりが収まり、不動産の物件リストを見ていても値下げをする物件もちらほら現れました。アメリカでは家を担保にしてローンを組み、それを元手にリモデルや増築などするという形態がよくとられますが、利上げでそれらを見送る家庭も増えるでしょう。クレジットカードなどの金利も当然今後上がっていくと思われます。
住宅ローンの金利はすぐ上がりましたが、私たちが銀行にお金を預けるときの金利はなかなか上がりません。大手銀行の多くは市場金利が上がったからといってすぐに預金者に還元するわけではないようで、いまだに口座金利は0.01%とか0.02%です。大手銀行に比して高めの利子を誇るオンライン銀行は反応が比較的早く、それでも現在は0.06%とか0.07%です。この高インフレ下で、銀行に貯めておくお金はどんどん実質的価値を失っていく状態です。