どんなサイクルの中にあっても、ブレずに続けるべき投資は…

投資はどんな影響を受けるでしょう。まずは、新しく発行される債券の金利が上がりますが、すでに発行されている債券に関しては設定されている固定金利が新しい市場金利に比べて低いので、その金利の差を補うために債券の取引価格は下がります。すでに債券や債券ファンドを持っている場合は、価格低下を経験することになります。金利の上昇は直接的に債券価格に負の影響を与え、とくに期間の長い債券でより大きな下落を見ています。

株式に関しては、金利上昇の株価への影響は、債券への影響と比べるとより間接的です。市場金利上昇により、企業が資金調達をする金利が上がり、企業活動にネガティブな影響を与えることが予想されます。また、消費者活動に頼る企業、たとえば消費者がクレジットカードやローンなどを使って購入するような商品は、金利上昇で消費が抑えられるので、企業成績にネガティブな影響が出ると予想されます。つまり、企業にとってみればビジネスをするための資金調達コストが上がる一方で、売り上げが下がるというダブルパンチを受けかねず、それが株価低下につながる可能性があります。2022年頭まで好調だったアメリカ市場も下落傾向で、Vanguard発表の向こう10年間の利回り予想では、米株式市場は年平均2.0~4.0%の範囲、中間値にしてわずか3%となっています。ここまで好調な労働市場にも影響を与え、リセッションを懸念する声も出ています。

激しいインフレに苦しむアメリカに住む日本人として、唯一うれしいのが20年ぶりの円安ドル高です。アメリカ市場の金利が全体的に上がるにつれ、米国債やその他ドルでの安全運用資産がより魅力的になるため、資金が海外からドルへと流れ、ドル価が上がりました。これを書いている5月頭現在1ドル130.57円です。実家のためにお墓を買うのですが、2021年に注文したものがはからずも支払いが今になり、実質15%ディスカウントです。

まあ、そういうことで、経済というのはつながっていて、2021年は株価が上がって喜んだかと思えば、今度はすごいインフレに苦しみ、そうかと思えば金利が上がって円安はうれしいが、株価も下がり債券も下がって投資ポートフォリオ的にはちょっと悲しい……全部都合よくはいきません。これが市場のサイクルということなのでしょう。株が下がるの、債券が下がるのと言いますが、投資については普段から「全世界分散のインデックス長期投資」をお勧めしているので、とりあえず何もしないでサイクルを乗り切るのがいいとアドバイスをさせていただいています。