最近アメリカで目にするのは、「ESG投資」と「ファクター投資」
スマホも家電も常に新しい機能が開発され、目を引くネーミングがつけられ、アップグレードを促すメディア作戦が日々展開されます。常に新しいセールスポイントで販促し続ける……これは、案外投資の世界にも当てはまることではないかと思ったりします。
ここアメリカでもネットやニュースでちょっと気になる、何か新しそうでホットな“投資法”みたいなものが常にあると感じます。
最近よく見るのが、「ESG投資」という言葉です。ESGは、環境(Environmental)、社会(Social)、企業統治(Governance)の頭文字をとったもので、これらの領域において持続可能なビジネスを行っている企業を選択する投資ファンドを指します。企業の社会的責任を重要視する企業に投資するという意味でSRI(Socially Responsible Investment)とも呼んだりします。環境汚染や地球温暖化に注目が集まるなか、人気を集めている投資法ですが、ただ、何をもってESGに合致しているとみるかは主観的部分も残るように思います。例えば核エネルギーを例にとってみると、原発事故の側面から見れば社会的責任に背くものとして判断されますが、化石燃料の代替エネルギーとみれば環境的にサステナビリティを提供するものとも判断されます。投資対象として含めるか含めないかは各ファンドマネージャーの判断によります。
また、「ファクター投資」という言葉も最近よく目にするようになりました。下記のような、何らかの要素(ファクター)について、一定条件を満たす株式だけを選んで投資する運用方法をファクター投資といいます。
バリュー(Value):業績に対して、株価が割安なものに投資する
モメンタム(Momentum):直近の成績が優秀な株、上昇トレンドにある株に投資する
クオリティ(Quality):バランスシート上の財務力が優れている、収益性が優良な会社に投資する
リクイディティ(Liquidity):トレード(売り買い)されることの少ない(less liquid)な株に投資する
サイズ(Size):小型の成長株に投資する
ボラティリティ(Volatility):値動きが小さく、リスクの少ないものへ投資する
ファクター投資は実は目新しいものではなく、ずいぶん前からあった考え方です。例えば、ウォーレン・バフェットはバリュー投資で成功した人です。これらの要素に応じて選んで投資するという意味で、ファクター投資はアクティブ投資であり、以前はファンド手数料が高いものが多かったわけですが、昨今では吟味・判断・選択の労力のかかる部分にテクノロジーを駆使することで、手数料を比較的低く保つことが可能になったというのが、新しいセールスポイントです。
2008年の金融恐慌後、10年余りでパッシブ投資がすっかり王道となりましたが、そんな中、効率的判断で低手数料も叶う、新種のアクティブ投資として再浮上したのがファクター投資ファンドです。