5月の米国株マーケットの見通しとポイント

米国株投資をする方にとって5月といえば「セルインメイ」を思い浮かべる方も多いのではないでしょうか。ウォール街には「5月は売り逃げろ」という相場格言があり、今年はこれに素直に従うことが賢明かもしれません。なぜなら米国経済における最大の懸念材料であるインフレとその対策としてFRBの利上げ政策の加速という不透明な条件が根強く残っているからです。こうした局面が続く限り、5月の米国株マーケットは下落が続く可能性が高いでしょう。

おわりに

投資家心理としては誰でも株価を安く購入したいと思うはずです。実はこれが弱気相場のワナにもなり得るのです。実際、割安だと思って購入した株が下落相場の入り口に過ぎなかったという経験を投資家の多くはしているはずです。

つまり、セルインメイで大切なことは「無理をしない」ことです。本来、資産はゆっくりと時間をかけて育むものです。こうした不透明なときこそ大切なのが投資と投機の違いを明確にすることではないでしょうか。

また為替にも注目です。今のような円安ドル高局面において、米国株投資家はその恩恵を受けているはずです。つまり1つの通貨や銘柄に集中するのではなく、ある程度の分散投資を心がけることが大切な投資戦略といえるでしょう。

さらに忘れてはいけないのが、すでに米国経済にはリセッション(景気後退)のサインである「逆イールド」が発生していることです。1~2年後に米国経済の景気も後退する可能性が高くなりつつあります。目まぐるしくマーケットが変化する中でつい忘れてしまいがちですが、多くの投資家が“すっかり忘れたころ”に株価が急落する可能性が高いことを念頭に置いて、思い通りに動かないマーケットと折り合いを付けていくことが投資家に求められていると筆者は考えます。
 

執筆/鈴木 林太郎

金融ライター、個人投資家。資産運用とアーティスト作品の収集がライフワーク。どちらも長期投資を前提に、成長していく過程を眺めるのがモットー。Webメディアを中心に米国株にまつわる記事の執筆多数。