3月の米国株マーケットは激動の1カ月でした。特に3月前半までは年初から下落相場が続いたので、チャートから目が離せない時期が続いた投資家も多かったのではないでしょうか。

世界情勢に目を向けるとウクライナ情勢が混沌とするなかで、米国株は下落相場から再び株価も上昇しています。その要因が何かといえば、本当にロシアがウクライナへと侵攻するのかどうか、投資家が最も嫌う先行きの不透明さがなくなったことが挙げられます。

マーケットはいざ戦争が始まると、次のシナリオ、また次のシナリオと先の展開をいち早く織り込むものです。ウクライナ侵攻が始まったことで、バイデン大統領が3月8日にロシアからの原油や天然ガスなどの輸入を禁止することを発表しました。米国に続くようにEUもロシア産天然ガス依存から脱却する動きを見せており、国際需給の逼迫による世界的な石油価格の高騰が発生しています。こうした一連の要因が米国のガソリン価格高騰へとつながり、米国内の消費が今後落ち着くことが予想されます。その結果、FRBがインフレ対策のために急いで利上げペースを上げるリスクが緩和され、マーケットには大きなプラス材料となりました。これにより下落相場時に優勢であったバリュー株から再びグロース株へとマーケットの資金が流れていきました。

もう一つ米国株にとって好材料となったのが、バイデン大統領が「NATO諸国に一歩でもロシア軍が足を踏み入れた場合、容赦はしない」と発言し、プーチン大統領を言葉で牽制する大きな役割を果たしたことです。実際に米軍がすぐに軍事介入するのは現実的ではありません。なぜなら現在の米軍の配置は極東に集中しており、西側に軍備を配置するには数年の時間が必要だからです。

この点において、バイデン大統領の発言がマーケットに一定の安心感をもたらしていることをチャートからも読み解くことが出来ます。

それでは米国主要株価指数であるダウ平均株価、S&P500、ナスダックの3月の動きを振り返ります。

3月のダウ平均株価

ダウは米国主要業種を代表する30銘柄で構成された指数です。

構成銘柄の中ではジョンソン・エンド・ジョンソンの株価が大きく上昇しています。これは2月24日にプーチン大統領がウクライナ東部で軍事作戦を開始すると発表したことで、マーケットが短期的に混乱し、投資家の資金がリスクヘッジ銘柄であり株価が安定しているヘルスケアセクターに資金が集まったことが要因です。

・ダウ平均株価  34678.35ドル(3月31日時点)

3月のS&P500

S&P500は米国の証券取引所に上場する企業の中で代表的な500社を組み入れて構成された株価指数です。米国経済の現在地を最も正確に表した数字といえるでしょう。

マーケットのトレンドがバリューからグロースへと変化したことで、主にビッグテック企業がその恩恵を受けました。なかでもテスラやエヌビディアといったハイテク企業の株価が下落相場が続いたことによる割安感から投資家の買いが先行し、株価が大きく上昇しています。

・S&P500 4530.41ポイント(3月31日時点)

3月のナスダック

ナスダックは主にハイテクセクターやネット企業の動向を知る重要な指標です。GAFAMを中心に米国経済を牽引するテクノロジー企業が組み入れられています。

S&P500同様にグロース優勢の展開となったことからGAFAMなどのハイテクメジャーの株価が軒並み上昇し、ナスダックを牽引する形となりました。

・ナスダック 14220.52ポイント(3月31日時点)