4月の米国株マーケットの見通しとポイント

米国株投資家が最も注目するトピックは米国経済が今後リセッション(景気後退)入りするかどうかです。その重要な指標となるのが金利です。金利と株式は互いに影響しあう関係であり、一般的に金利が上昇すると株式は下落する傾向にあります。

現在のようなリセッション入りするかもしれない局面において、指標となる金利が2年債利回り(短期債)と10年債利回り(長期債)のチャートの動き方です。

それぞれの特徴として短期債はFRBの政策金利の影響を受けやすく、短期債が上昇している局面においては、FRBが利上げを加速させると考える市場参加者が多いことを意味しています。では長期債はというと、長期債の上昇局面においてはインフレが長期間続くと考える投資家が多いことを意味しています。つまり長期金利が高くなると今後も経済成長への期待を持っている市場参加者が多いということなのです。そのため本当に米国経済がリセッション入りするのかの判断基準として長短金利差が重要な指標となるのです。そして3月29日の米債券市場において2年債利回りが一時的に10年債利回りを上回る「逆イールド」が発生しました。過去の歴史を振り返ると、1~2年後に米国経済がリセッション入りする可能性が高くなりました。4月の米国株マーケットにおいて、株価がどのようにリセッションを織り込むのかも注目です。

もう一つマーケットの見通しを考える上で大切なポイントが季節のアノマリーです。実際、1950年〜2019年までのS&P500の月次パフォーマンスでは、11月、12月に次いで4月は3番目にパフォーマンスが高い強気相場の月です。そのため4月の米国株マーケットは3月末の指数を上回る確率が高いと考える投資家が多いこともマーケットにプラス材料となるはずです。

このように4月の米国株は短期では強気であるものの、年間を通してはあまり強気にはなれない相場環境になると考えることが論理的です。

おわりに

年初から続いた厳しい下落相場から一転して強気相場となった米国株。こんなときこそ警戒すべきなのがFRBパウエル議長の発言です。株価が高い局面においては利上げの加速について発言がしやすいため、発言内容によっては株価が反応してボラティリティが大きくなる局面もあり得るでしょう。

とはいえ資産形成を考える上で米国株は今後も魅力的な投資先であることは変わりません。目先の懸念材料などで相場環境が変化しても、投資を続けることこそ最も賢明な投資家への道だと筆者は考えます。

 

執筆/鈴木 林太郎

金融ライター、個人投資家。資産運用とアーティスト作品の収集がライフワーク。どちらも長期投資を前提に、成長していく過程を眺めるのがモットー。Webメディアを中心に米国株にまつわる記事の執筆多数。