ウクライナ侵攻に踏み切ったロシアに対し、欧米をはじめ世界各国が経済制裁に乗り出している。ロシア企業・個人の資産凍結や半導体など戦略物資の禁輸措置が繰り出されるなか、2月26日に発表された制裁の決定打が、SWIFT(国際銀行間通信協会)からのロシアの除外だ。
国際送金のインフラとなっているSWIFTからの遮断は、フランスの経済・財務相から「金融版の核兵器」とも表現され、ロシア国内のみならず世界経済全体への影響も計り知れない。今回はSWIFTの概要や、ロシアの除外が投資家にどのような影響を及ぼすか解説する。
国境を越えた金融情報の通信を担う組織
SWIFT(国際銀行間通信協会)とは、金融機関に特化した情報通信サービスを行う非営利団体だ。世界各国の金融機関を結ぶ安全性の高いネットワークとして、国際送金、外国為替、証券取引などに関わる金融情報のやりとりを担っている。
参加する金融機関は200カ国以上、約1万1000社にのぼる。SWIFTを利用した決済額は1日平均で約5兆〜6兆ドルともされており、同規模の決済ネットワークはほかにはない。国際決済における事実上の標準システムといえるだろう。
SWIFTの設立は1973年。欧州において国境をまたいだ銀行間決済を効率よく行うため、各国銀行の出資により誕生した。
SWIFTは共同体であるEUと異なり、民間団体として運営されている。そのため、平時には国家の利害関係によらない中立的な立場を取ることを基本としている。
ただし、本部を置くベルギーの法律に従う義務があり、ベルギーが加盟するEU(欧州連合)の決定により活動を制限される場合もある。