SWIFT除外で企業のみならず国民も打撃

SWIFTは、欧州との政治的な結びつきが深く、また国際決済の基軸通貨である米ドルを擁する米国の意見にも、活動が大きく左右される傾向にある。

これまでも米国はSWIFTに働きかけることで、敵対国への経済制裁を行ってきた。過去には2012年と2018年に、核開発疑惑が浮上したイランをSWIFTから排除した先例がある。

今回のロシアに対する除外措置も米国が主導。日本を除くG7とEUの共同声明として発表された。その後、日本も制裁に加わり、3月12日時点ではロシアの大手7銀行グループがSWIFTの情報システムから遮断されている。

SWIFTの決済ネットワークが使えなくなったことにより、ロシアは次のような経済的打撃を被っている。

・海外企業との決済が難航
・ロシアの基軸通貨、ロシアルーブルの流通が滞り価値が暴落
・対外債務の返済が困難に

対外決済の制限による海外企業との取引難航は、ロシア経済に対して中長期的に打撃を与えると考えられる。ロシア企業は輸出入品の決済に加えて、海外からの投資金や借入金の受け取りも困難になる。経済が停滞することでGDP(国内総生産)の大幅な減少が見込まれている。

一方、ルーブルの暴落は企業活動だけではなく、ロシア国民の生活にも深刻な影響を及ぼしている。国民が保有する現金の対外価値は大幅に減少。ロシア国内では銀行の取り付け騒ぎが起きたり、輸入品の価格が高騰したりするなど混乱が広がっている。

対外債務の不履行もロシアにおいて深刻な問題だ。SWIFTによる制裁に加えて外貨準備の凍結措置を受けたこともあり、国債の利払いが非常に困難な状況に。債券発行者としての立場を揺るがす事態にも発展しているのだ。