「iPhone」商標使用料は1.5億円?
ところでアイホンという名前は何かに似ていると気付きませんか? そう、アップルのスマートフォン「iPhone」ですね。音が似ているためアイホンと聞くとスマートフォンをイメージする方も多いでしょう(ちなみにアイホンの英語表記は「AIPHONE」)。
音が似ていても両社の製品は大きく異なるため問題ないと思うかもしれません。しかしアイホンは先んじて「アイホン」や「AIPHONE」などの商標を登録していたため、アップルがiPhoneを国内で販売するとアイホンが持つ商標権を侵害する恐れがありました。
アップルはアイホンと交渉し2008年3月に商標について合意に至ります。具体的な契約内容は公開されませんでしたが、アップルが商標の使用料をアイホンに支払いiPhoneを国内で販売する内容だと思われます。
商標の使用料についても明かされていませんが、アイホンの損益計算書における「受取ロイヤリティー」がアップルから受け取っている商標の使用料だと考えられます。その額は当初1億円でしたが2017年3月期には1.07億円、2018年からは1.5億円に上昇しました。
【アイホンの受取ロイヤリティーの推移】
・2012年~2016年3月期:1億円
・2017年3月期:1.07億円
・2018年~2021年3月期:1.5億円
出所:アイホン 各年の決算短信より
iPhoneの製造には多くの日本企業が参加していますが、商標の使用料という形で関わっているのはアイホンならではの強みといえるでしょう。
【アップルのサプライヤーリストに掲載される日本企業の例】
・AGC
・日立製作所
・ジャパンディスプレイ
・京セラ
・村田製作所
・日本電産
・パナソニック
・ルネサスエレクトロニクス
・シャープ
・ソニーグループ
出所:2021 Apple Supplier List
執筆/若山卓也(わかやまFPサービス)
証券会社で個人向け営業を経験し、その後ファイナンシャルプランナーとして独立。金融商品仲介業(IFA)および保険募集人に登録し、金融商品の販売も行う。2017年から金融系ライターとして活動。AFP、証券外務員一種、プライベートバンキング・コーディネーター。