「黒田ライン」超えでもなお円安が許容されるか注目

今後のドル円相場を予測するうえで注目していかなければならないのは、日銀が円安をどこまで許容するかだろう。さしあたって意識すべきは1ドル=125円近辺となる通称「黒田ライン」だ。

これは2015年に「黒田バズーカ」と呼ばれた大胆な金融政策で大幅な円安となった際に、黒田総裁が円安への牽制と受け止められる発言をしたときの水準である。牽制発言により、当時のドル円相場は一転して円高ドル安基調に向かった。

2022年3月末に「指し値オペ」実施でドル円相場が125円を突破した際にも、同水準が上値抵抗として作用したためか、相場は120円台前半までドル安へと調整に転じた。しかし、半月後の4月11日には米国10年債利回りの上昇で再び125円に到達し、黒田ラインを明確に超える130円台を目指し始めた。こうしたなかでも日銀が円安を容認する姿勢を崩さないか注視したい。

岸田政権の動向も重要なポイントだ。岸田首相は資源価格の高騰に起因した物価高への対応として「原油価格・物価高騰等総合緊急対策」を4月末までに策定する方針を示した。2022年夏の参議院議員選挙に向け、国民の生活に直結する物価高をできるだけ抑制したい思惑があると見られる。

さらなる物価高を招きかねない日銀の円安容認は、政権の意向と相反しかねない。今後、政権と日銀との間で為替介入の必要性について本格的な議論が巻き起こるかも重要な焦点だ。

投資家は今後、さらなる円安の進行も考慮して投資戦略を考えていく必要があるだろう。円安は円建て資産の目減りにつながることから、まずはリスクヘッジとして米国株などの外貨建て資産をポートフォリオに組み込むことを視野に入れたい。

また円建て資産である日本株に投資する場合でも、円安の恩恵を受けやすい輸出関連企業や、生産コストを製品の売値に転嫁しやすい価格競争力のある企業に投資していくなど、銘柄の選別を強く意識していきたいところだ。