もはや「新興国」ですらないロシアの位置付け

では、退場処分となったロシアは今、どういう位置付けにあるのか。MSCIの市場区分を使って解説する。

MSCIでは、以下の図の通り、指数算出の基準となる市場区分を設けている。

 

つみたてNISAで人気の「全世界株式」インデックスファンドの多くは、左上の「オール・カントリー・ワールド指数(ACWI=アクウィー)」をベンチマークに掲げている。同指数は先進国と新興国の双方を広範囲にカバーしているが、この「新興国」に含まれるのは「エマージング・マーケット指数」の構成国24カ国である。

MSCI社ではさらに、「エマージング・マーケット指数」に採用されていない新興国のうち、成長の伸びしろがあり、かつ外国人投資家が投資可能な国々を「フロンティア・マーケット」と位置付けている。足元で「フロンティア」に位置付けられる国は21あり、市場規模・流動性と市場へのアクセス面において一定の基準を満たすことで「エマージング」への昇格が認められる。逆もまたしかりで、「エマージング」から「フロンティア」への降格もあり得る。最近では、昨年パキスタンが「フロンティア」へと降格された。

前置きが長くなったが、この度ロシアは「エマージング」から、「フロンティア」よりもさらに下に位置する「スタンドアローン」への二段階降格を余儀なくされた。「スタンドアローン」とは、資本移動に規制があり、流動性も極めて低い、いわば「孤立した」市場を指す。最近では、昨年アルゼンチンが「フロンティア」から降格し、「スタンドアローン」に加わった。

今後、金融市場が正常化すれば再び「エマージング」へと昇格する可能性はあるが、ロシアという国に対する世界の見方が変わった今、昇格の決定に時間を要する可能性も否定できない。