この度のロシア・ウクライナ問題を受け、投資信託の運用会社が即座に対応を迫られたことは前回(投資信託が売買できない! ウクライナ危機で表出した真に警戒すべきリスク)触れた通りだが、その後の動きとして、MSCIやFTSEといった世界的な指数算出会社も対応を求められる事態に発展した。そこで今回は、インデックスファンドの運用に欠かせない指数=インデックスの算出元である指数算出会社の役割について解説するとともに、ロシアを巡る指数算出会社の対応と、実際の投資信託への影響についても触れておきたい。
そもそも「指数算出会社」とはどんな会社?
指数算出会社とは文字通り、投資信託のベンチマークなどで採用されている各種のインデックスの算出元の会社で、冒頭で触れた米国のモルガン・スタンレー・キャピタル・インターナショナル(MSCI)社や、ロンドン証券取引所の子会社であるFTSE(フッツィー)社などが世界的に知られている。近年は米国の代表的な株価指数であるS&P500指数が個人投資家の間ですっかり定番となったが、同指数は、S&Pグローバル・レーティングという格付け会社が算出している。また、より日本人に馴染みが深いであろう、日経平均株価を算出しているのは、日本経済新聞社だ。
このように、投資信託のベンチマークとしても広く採用されているインデックスは、公的な機関ではなく、民間企業が一事業として行っていることが多い。したがって、各指数算出会社が定めた基準に則って、組み入れ要素が変更されたり、そもそもの算出方法が見直されたりすることがある。
指数算出会社は、運用会社などから指数の利用料としてライセンスフィーを受け取る。いわゆるサブスクリプション型のビジネスモデルのため、自社の指数がより広く、継続的に利用されれば、指数算出会社は安定した収益を確保できる。
一方、運用会社の立場から見ると、「日経平均株価」や「S&P500指数」などの指数をベンチマークに設けると、指数算出会社に一定のライセンスフィーを支払う必要があり、これは運用上の固定費となる。最近はこの固定費を削減する目的で、ベンチマークを設けない「疑似インデックスファンド」も増えている。