「異例」の速さで決まったロシアをめぐる対応

では今回、ロシアをめぐり、指数算出会社は具体的にどのような対応を取ったのか。まずは、ロシアが置かれている状況から整理しておこう。

この度のウクライナへの軍事侵攻を受け、各国はロシアの銀行を国際銀行間通信協会(SWIFT)から排除し、外貨準備も凍結するという経済制裁を科した。これにより通貨ルーブルは急落し、モスクワ証券取引所は取引停止を余儀なくされた。ロシア金融市場へのアクセスが遮断されたため、指数算出会社もロシア資産への投資可能性について検討し、結果、各種指数からロシアを除外するという決断に至った。

いち早く対応したのは、前述したMSCIとFTSEの2社で、FTSEは3月7日、MSCIは同9日の取引終了後にロシア株式を「新興国」から除外し、各社が提供する指数への組み入れをゼロとした。また、債券指数の算出元として有名な米J.P.モルガン社も、機関投資家へのアンケート調査を経て、3月末に同社が算出する全ての債券指数から除外した。

こうした指数からの除外は、事実上の「退場処分」を意味する。過去にも財政危機などを理由に同様の措置が取られる国はあったが、今回の各指数算出会社の対応で印象的だったのは、サッカーの試合で審判がレッドカードを提示するかのごとく、ロシアを「即刻退場」としたことだ。金融市場へのアクセスが遮断されたので致し方ないと言えばそれまでだが、軍事侵攻という国際法に反する行為に対し、指数算出会社も迅速かつ厳しい対処を行ったことを印象付けた。