やはり長期の資産形成に合理的でない毎月分配型投信

かつて毎月分配型投信といえば、グローバル債券を組み入れて運用するタイプが主流でしたが、昨今、人気の毎月分配型投信は、グローバル株式に投資するものが中心になりつつあります。

同レポートでは毎月分配型投信の設定額の内訳をグラフで表示してありますが、これによると2012年はグローバル債券を組み入れたタイプが全体の56%を占めていたのが、2021年はわずか9%まで減少する一方、グローバル株式を組み入れたタイプは2012年が9%だったのに対し、2021年は59%まで増えました。両者の関係が、ちょうど逆転した形になっています。

このように、グローバル株式を主要投資対象とした予想分配金提示型を中心にして、再び毎月分配型投信の人気が高まりつつあるように見えますが、この手の投資信託を購入するのであれば、その購入理由をしっかり考える必要があります。

たとえば「人気があるから」というのは理由になりません。「アライアンス・バーンスタイン・米国成長株投信Dコース毎月決算型(為替ヘッジなし)予想分配金提示型」を引き合いに出すつもりはないのですが、たとえば米国の成長企業に投資する投資信託であるならば、むしろ分配金を出さずに運用し続けた方が、組入資産をさらに大きく成長させられるはずですし、「米国成長株」に投資する以上、分配金の原資をつくるためにわざわざ組入銘柄の一部を売却するという行為は、あまり合理的ではないように思えます。

それでも、これだけの資金が集まっているということは、毎月高額の分配金を得たいという、投資家のニーズがあるのかも知れません。購入しているのが高齢者だとしたら、年金的に分配金を受け取りたいというニーズも多少理解できます。それでも、米国成長株という資産クラスで運用するならば、分配しない投資信託で運用し、自分自身に資金ニーズが生じた時、一部解約で対応する方がはるかに合理的です。

ましてや、これから資産形成を進めていく必要のある30代、40代の人にとっては、投資対象が何であれ、毎月分配型投信を購入することをもう一度考え直す必要があるのではないか、ということを最後に付け加えておきます。