相談者のプロフィールとお金データ
60歳、愛知県で一人暮らし。夫とは子どもが小さいうちに離婚、子どもはすでに独立している。一人社長として、デザイン会社を経営。
【寄せられたお悩み】
「お付き合いのある銀行に頼まれNISA口座を開き、おすすめされた毎月分配型投資信託を数年前に購入して“資産運用”はしているものの、個人事業が長かったため、年金が少ないのが心配です。
この投資信託以外で、60歳でもできるお金を増やす方法が知りたいです。
子ども達はすでに独立していますが、それでもより多くのお金を残してあげたいと思っています。なお、私自身の終身保険(保険金3000万円)、終身医療保険はどちらも保険料は払い込み済みです」
【お悩みの論点】
少しでも多くお金を殖やしたい……60歳からでもできることは?
資産状況や月々の収支内訳
金融資産額(相談者1人分): 200万円
内訳
預貯金:50万円
投資信託:150万円 ※国内外の株式に投資する、毎月分配型投資信託。銀行員にすすめられたエピソードについては、下記「投資信託購入エピソードを深掘り」の通り。
収支
<収入>
・世帯の毎月の手取り収入:20万円
・手取りの年収:240万円
<支出>
毎月:20万円
住居費(固定資産税を月換算) 1万円、水道光熱費 4万円、食費 5万円、車両費 2万円、通信費 1万円、小遣いその他 7万円
お付き合いのある銀行から、ほぼ“頼まれる”かっこうでNISA口座を開設。
その際、銀行の担当者からは「NISA口座で投資信託を買って、運用をすれば、運用益が非課税。毎月受け取れる分配金を定期預金にしたらどうか」と提案されたそう。
上野さんの父親も会社経営者で「普段から金融機関とのお付き合いは大切にすること」と言い聞かせられてきたこともあり、深く考えることなく、言われるままにサインをし、言われるままに印鑑を押したのだと言います。
上野さんも老後に向け「何とかしたい」と思っていたのは確かで、何度も熱心に勧めてくれるので、毎月分配金を受け取れることは良い話に思い、勧められた毎月分配型投資信託を70万円分購入したと言います。さらに、担当者が熱心に追加購入を勧めてくるため2年後にも80万円分購入し、合計150万円分所有しています。
ご自宅は持ち家(住宅ローンは完済)、生命保険と医療保険も払い済み、ご自身の“万が一”のために多くの現金を準備する必要はありません。
ただ、自営業の期間が長かったため厚生年金部分が少なく、今の一人社長でも退職金制度はありません。そこを何とかしたいと思うのもごもっともです。自営業ならば、小規模企業共済でも、国民年金基金でもやっておけば良かったのですが、育児に家事に事業にと奮闘されてきて、きっと手が回らなかったのでしょう。
まず、すでに所有している毎月分配型投資信託について、その仕組みを知らないまま所有していることは少々危険と言わざるを得ません。その部分から解説していき、60歳の今からでもできる資産形成方法をお伝えします。