規模、営業エリアを越えた企業マッチングが新たな価値を創出

銚子信用金庫が推薦する藤代商店(千葉県銚子市)は、シジミやハマグリ、アサリなどの二枚貝を販売している業者です。死んでしまった貝や貝殻が割れた貝は、産業廃棄物として有償で処分していました。貝を無償で引き取りたいというトラスト企画の申し出は、藤代商店にとっても渡りに舟だったのです。両者の連携はスムーズに進みました。

銀行と信用金庫を比べたときに、信用金庫は情報力、コンサルティング力で劣っていました。営業エリアが限定されている分、同じ県内でも離れたエリアになると情報をほとんど持ち合わせていなかったのです。福島と銚子という離れた拠点で、企業マッチングを実現させるのは、従来であれば不可能なことでした。「よい仕事おこし」を通じ信用金庫が連帯したからこそ、短期間で迅速な連携が可能となったのです。

新型コロナウイルスの感染拡大や、止まらない原料高により、一部の強い企業を除き中小・零細企業の業績は悪化しています。実質無利子・無担保融資により倒産は低水準に抑えられていますが、近い将来に倒産が続出し金融機関の経営にダメージを与える可能性は決して小さくありません。銀行には、これまでにないレベルでの本業支援が求められています。信用金庫による全国連携の取り組みは大いに参考にされるべきです。