夫婦と子ども2人の4人家族。もはやそんな“平均”は存在しない。日本では単身世帯が増え続け、総務省の推計では2040年には約40%が「おひとりさま」になるといわれている。1人で死んでいくことは、すでにイレギュラーなことではない。そんな少子高齢化・単身世帯問題に鋭く切り込むのが、第24回文化庁メディア芸術祭マンガ部門優秀賞を受賞した漫画『ひとりでしにたい』(カレー沢薫/ドネリー美咲)だ。今回は、前後編に分けて、この漫画を「マネープラン漫画」として読み解いてみる。

●前編はこちら

趣味のお金を削るのはリスクが高いことも…

主人公・鳴海の両親に老後のお金についてアドバイスする同僚のナスダくん。父は早速、母に「趣味のヒップホップを辞めれば?(鳴海の母親はカルチャーセンターのヒップホップ教室に通っている!)」と言い出す。しかしみんなで話し合ううち、趣味のお金を削るのは周囲とのつながりも断ち、健康も阻害するリスクの高い方法だという結論に至る。

ここで、ナスダくんが「削ってもメンタルに影響をしないもの、つまり税金を削る」というアイデアを打ち出す。iDeCoやNISAも、節税の面から注目されることが多い(iDeCoは運用益に加えて所得税の節約にもなる)。ほかにも節税できるものがないか、見直してみることが大事だ。また、国民年金などはまとめて払うことで割引が効くし、漫画でも描かれているがクレジット払いならポイントがつく。こういったものなら、シニア世代からでも取り組めるマネー術ではないだろうか。

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特にシニアになってからの節約は、精神的にも辛いことが多い。また、若年世代でも、雇用や収入が不安定な状況で趣味まで削ってしまうと、かえって心病んでしまうケースも見られる。「精神的な負担が少ないものから改善していく」というのは、現代をサバイブする上では必要な心がまえかもしれない。