10月からはさらなる活路 企業型DC加入者のうち700万人はiDeCo加入の対象に

今年の10月からは、さらに「ひとり2口座」の活用の幅が広がります。企業型DCでマッチング拠出を実施しておらず、拠出限度額の範囲内であれば、個人型DCでも「加入者」が選択できるようになります。

つまり、企業型DCで加入者、個人型DCで運用指図者のパターンから、企業型DCで加入者、個人型DCでも加入者の選択ができる人が増えるということです。その人数は概算で700万人程度となると思われます(企業型DCの加入者数は749万人。個人型DCで他の企業年金制度がある加入者は21万人。企業型DCの事業主掛金だけで5万円を超えている人は3.6%等から計算)。

企業型DCと個人型DCを併用する場合、いちばん大切なのは個人型DCの金融機関をどう選択するか、という点です。まず候補になるのは、企業型DCと同じ金融機関です。おそらく、どの金融機関でも企業型DCを提供している場合は、個人型DC加入者の利便性を高める工夫を企画していると思われます。

そのほかのチェックポイントとして考えられるのは3点で、運用商品の商品性と手数料、相談のしやすさ、です。運用商品と手数料については、iDeCo公式サイト等で比較できます。運用商品の比較により、ご自身の考えにあった金融機関を選択する、のも一つの方法です。なお、個人型DCの手数料は、規約に記載されているものと、金融機関の任意で設定されているものの2種類があります。規約に記載されている項目には、次の4点があり、この部分はどの金融機関でも同じ金額となっています。

①新たに加入者等の資格を取得したとき 2,829円
②掛金の収納及びこれに付随する事務に関する手数料収納 1回あたり105円
③国民年金基金連合会に自動移換されたとき 1,048円
④掛金を還付する必要が生じたとき1,048円

さらに、事務委託先金融機関(=信託銀行)の費用はすべて同じ金額で設定されているため、毎月の管理料66円、還付手数料440円も同じです(還付手数料は上記④に加算)。それ以外の手数料がどれだけかかってくるのかを比較してみるとよいでしょう。

次に、「相談できる」のが大切なのは、2時点で関係してきます。一つは60歳までの間の運用の考え方を相談できる体制があるかどうか、もう一つが受け取りに際しての相談体制です。DCのいちばん大きな特徴は、「自分で運用すること」ですから、運用についての質問体制が整っている金融機関を選択することが重要です。さらに、DC制度はご自身で受け取りタイミングを決めることができるメリットがあるので、「いつもらうか」を相談できるのも大切な点だと思われます。

ひとり2口座を本格的に活用できるようになる10月に向けて、個人型DCの金融機関サービスを少し調べてみるのもいいかもしれません。
※手数料等については税込み金額を記載