投資信託協会が2020年11月から12月にかけて実施したアンケートによれば、「iDeCo」の認知率は59.9%と約6割に達しようとしています。また、「金融教育」が高校家庭科で必修化されることにともない、「iDeCo」がテレビ番組のクイズに登場する場面も出てきました。
このように、すっかり定着した感のある「iDeCo」ですが、確定拠出年金(DC)制度の一つだと認識されていない方もいるかもしれません。
iDeCoの認知拡大と確定拠出年金の制度変更
iDeCoは個人型DCの愛称です。2016年9月、公募により決まりました。「individual-type Defined Contribution pension plan」の一部を抜き出したもので「i」が「私」を意味しており、自ら運用するという制度の特徴をとらえたもの、として選ばれています。愛称が公募された理由は、その4カ月後の2017年1月から個人型DCの加入対象範囲が広がることが決定していたためです。
当時、個人型DCは企業型DCと比較して加入者数も少なく、企業型DCのある企業を退職した人の資産を受け入れるための制度といった位置づけになっていました。
そうした状況を払しょくし、制度の普及を目的として、愛称が設定され、それまで、あまりなじみのなかった個人型DCは「iDeCo」と呼ばれるようになりました。愛称設定から4年余りで認知率が6割ですから、「iDeCo」は、その役割をきちんと果たしたといえるでしょう。なお同じアンケートで「企業型DC」についても聞いていますが、認知率は5割とiDeCoを下回っています。
企業型と個人型の二種類が設定されたDCができてから20年が経過しました。公的年金制度や中小企業退職金共済制度に比べれば、まだまだ歴史が浅いDC制度ですが、自助努力で老後資産を作るための制度としてどんどん変わっていきました。当初、認められていなかった企業型DCの加入者掛金(=マッチング拠出)が認められるようになったり、公務員が個人型DCを活用できるようになったことはご存じの方も多いのではないでしょうか。
その陰で、あまり意識されていない変化としてあるのが、個々人が活用できる「DC口座数」です。