3月の米国株マーケットの見通しとポイント
米国経済における最大の懸念材料であったインフレ問題ですが、これまではFRBが手をこまねいている印象が強く、先行きの不透明さを一番嫌う投資家の売りが先行していました。
しかし今後のFRBの出口戦略は明快です。それは「じっくりと利上げを進める」ということです。言い換えれば景気が次第に落ち着いてくるので、マーケットを刺激しないことを意識しつつ金融を引き締める、ということです。利上げのプレッシャーが緩和されたことは特にハイテク株などにプラス材料であり、今の米国経済を支えるビッグテック企業の株価も上昇するはずです。それが米国株式の指数にも波及するため、3月の米国株マーケットはじっくりと上昇すると考えられます。
また季節のアノマリーに従えば2月の弱気相場から反転するのが3月であり、マーケットにプラス材料となるはずです。
おわりに
これまで米国の株式市場は様々なリスクに直面してきました。株価大暴落の歴史を振り返っても1987年のブラックマンデー、2008年のリーマンショック、2020年のコロナショックなどがありましたが、なぜ株価が暴落するのかというと原因はさまざまです。金融の世界には「ブラック・スワン」という言葉があります。これはマーケットにおいて予測できなかった大きな事象が発生したことを意味する言葉ですが、ほとんどの投資家はこのブラック・スワンを予知できません。つまり投資をする上で大暴落を事前に予想することは難しく、避けては通れないということです。
しかし忘れてはいけないのが米国経済の力強さです。少なくとも米国企業の優位性は現時点において何も変わっていません。それは今後10年、20年先の社会を考えたときに米国企業が世界をリードし続けているということです。これこそ筆者が今後も米国株に投資を続ける理由であり、相場が苦しいときこそ忘れてはいけない心構えだと考えます。
執筆/鈴木 林太郎
金融ライター、個人投資家。資産運用とアーティスト作品の収集がライフワーク。どちらも長期投資を前提に、成長していく過程を眺めるのがモットー。Webメディアを中心に米国株にまつわる記事の執筆多数。