2月の米国株マーケットも年初からの苦しい相場展開が続きました。大きな要因となったのがウクライナ情勢と深刻な米国インフレ問題です。ロシアがウクライナに侵攻するのか、深刻なインフレ問題をFRBは本当に解消する出口戦略を持っているのか? という先行きの不透明さのリスクヘッジとして、株式を売却してキャッシュポジションを多くする投資家の動きが加速しました。

その中でも特にパフォーマンスが良かったのが、石油関連や小麦などのコモディティでした。ロシアがウクライナに侵攻した場合、ロシアからの天然ガスの不買運動が起こることから、他国にある石油関連企業の株に資金が集まるためです。またウクライナは「欧州のパンかご」とも呼ばれる世界有数の穀倉地帯であり、ウクライナからの小麦の供給が止まるリスクから小麦の価格が上昇しました。

そして2月24日にロシア軍がウクライナ東部へ攻撃を開始したことでマーケットの状況は目まぐるしく変化しており、2月はウクライナ情勢とインフレ問題という難しく航路の定まらない1ヶ月でした。

それでは米国主要株価指数であるダウ平均株価、S&P500、ナスダックの2月の動きを振り返ります。

2月のダウ平均株価

ダウは米国主要業種を代表する30銘柄で構成された指数です。

組み入れ銘柄の中ではシェブロン(CVX)、エクソン・モービル(XOM)などの石油関連株が下落相場の中でも堅調に推移しました。またウォルト・ディズニー(DIS)が2月9日に発表した四半期決算でアナリスト予想を上回る好決算を発表し、1月末の底値から回復しています。特にサプライズとなったのが10~12月期のディズニープラスの加入者数の増加です。事前予想の817万人を大きく上回る約1180万人の増加と躍進しました。

・ダウ平均株価  33892.6ドル(2月28日時点)

2月のS&P500

S&P500は米国の証券取引所に上場する企業の中で代表的な500社を組み入れて構成された株価指数です。米国経済の現在地を最も正確に表した数字といえるでしょう。

マーケットの下落要因となったのが前述したウクライナ情勢とインフレ問題です。その中でも好調だったのが前述した石油関連株やニューモント(NEM)など金や銀などの現物資産の生産・販売をする企業です。リスクヘッジ銘柄として注目され、株価も上昇しました。

・S&P500 4373.94ポイント(2月28日時点)

2月のナスダック

ナスダックは主にハイテクセクターやネット企業の動向を知る重要な指標です。GAFAM+Tを中心に米国経済を牽引するテクノロジー企業が組み入れられています。

ナスダックは昨年11月の高値圏から約20%も下落しました。これは米国のインフレのリスクヘッジとしてハイテク株の売りが先行したことが主な要因です。まさに弱気相場の瀬戸際という局面でしたが、2月24日のウクライナ侵攻により状況が一変しました。これにより、ロシア産の石油の不買運動が西欧諸国を中心に実施されることが予想されます。それに伴い石油の輸入が少なくなるので米国内のガソリン価格が高騰し、消費を控えることが予想されます。消費の減退はインフレリスクが次第に緩和されることを意味しており、2月24日を起点に投資家の資金が再びハイテク株やグロース株へ集まり株価が上昇を始めています。

・ナスダック 13751.4ポイント(2月28日時点)