あらかじめ取れる手立てを早くから検討する

法律専門職に相談して、自分の判断能力が低下した際に、財産管理や身上監護(生活、治療、療養、介護などに関する法律行為を行う)をしてくれる後見人を決めておく「任意後見契約」を締結しておくのは強力な手立てといえます。また、死後に必要になる手続きを委任する「死後事務委任契約」も近年では増えています。さらに、これらの契約を組み合わせ、生活周りのサポートをすることで家族代わりのサービスを提供する「身元保証等高齢者サポート事業」も増えています。

あくまでこれらは当事者同士の契約ですから、費用や業務の範囲を明確にしておかないと、いざというときに期待していたようなサービスが受けられなかったり、思ったよりお金がかかってしまったりすることがあり得ます。だからこそ、早い段階から検討し、自分が何をしてほしいか、いくら支払えるのかを明確にして契約をする必要があります。

情報を人に伝わる形で残しておく

おひとりさまの高齢期の大きな課題は、自分のことを自分で伝えられなくなったときに、代わりに伝えてくれる人がいないことです。遺言やエンディングノートを書いていても、それが周りに見てもらえなければ意味がありません。また、先に挙げたような契約をしていても、その契約の存在が人に伝わらなければ、実行されずに終わってしまうこともあるでしょう。

遺言については法務局が預かる制度を開始しています(※2)。また、エンディングノートには、自分で自分のことを伝えられなくなったときに周りが必要とする情報項目が多数盛り込まれていますので、できるだけ最新の状況を書き込んでおき(半年に1回見直すなど)、冷蔵庫に置き場所を貼るなどして、発見してもらえるようにしましょう。

できるだけ人付き合いを絶やさない

高齢期は心身の状態が悪くなってそれまでの活動ができなくなったり、特に男性は配偶者を亡くすと途端に地域での人付き合いが途絶えてしまったりするなど、周りの人とのつながりを失ってしまいがちです。地域包括支援センターへの相談などで専門職とのつながりを作っておくのも大切ですが、地域の集まりに日頃から顔を出してみたり、興味のある活動に参加してみたりするなど、複数の人の輪に加わっておくとちょっとした助け合いができることにもつながります。

コロナ禍で高齢者の間でもデジタルデバイスの利用が進んでいますが、そういったものを積極的に活用し、できるだけ自分から外に向かって手を伸ばしていく心掛けが必要とされています。

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※1 公的介護保険サービスにおける身元保証等に関する調査研究事業
※2 自筆証書遺言書保管制度