コロナ禍でも強い不動産投資アセットは「倉庫」

コロナ禍の影響を最も強く受けたのはホテルです。運営委託型の東京主要5区におけるホテルのNOI利回りは、2019年10月時点で4.23~4.75%まで低下したものの、人流制限が厳しくなるなかで上昇し、2021年9月時点では4.80~5.25%になりました。コロナ禍が今後どこで終息するのか、第7波があるのかどうかが見えてこないだけに、ホテルのNOI利回りは当面、上昇圧力が弱まることはなさそうです。

一方、このコロナ禍において最も堅調だった投資アセットタイプは、「倉庫」です。倉庫のNOI利回りを見ると、2010年1月の6.17~6.95%から低下傾向をたどるようになり、2021年12月には4.00~4.20%となりました。ここ10年以上にわたり、EC(電子商取引)が一般化するなかで倉庫需要が高まっていましたが、その動きがコロナ禍で一気に加速した形です。2020年3月時点のNOI利回りは4.10~4.50%で、下限と上限の差は0.40%でしたが、2021年12月時点では、下限と上限の差が0.20%まで縮小しています。少しでも高い利回りが期待される物件への投資が進んだ結果、NOI利回りの下限と上限の差が縮んだものと思われます。

このように、NOI利回りの観点からコロナ禍における投資アセットタイプ別の市況を見ると、気迷いが続くオフィスビル、底堅さを見せるマンション、一等地は比較的堅調な商業施設、厳しい状況にあるホテル、絶好調な倉庫という実体が浮かんでくるのです。