不動産売買を含む、各種不動産取引に関連したサービスを提供しているCBREの日本法人、CBRE JAPANが四半期ベースで行っている「キャップレートサーベイ」は、オフィスビルやマンション、商業施設、ホテル、倉庫など投資アセットタイプ別にNOI利回りを調査したものです。

コロナ禍で方向感が見えにくいオフィス需要

NOIとはNet Operating Incomeの略で、家賃から空室率、経費などを差し引いて、実際に手元に残るとされる純利益のことです。ある不動産物件に投資して得られるNOIを利回りで表示したものがNOI利回り(=キャップレート)になります。つまりNOI利回りは、投資家がその不動産に投資することによって期待している利回りを意味します。

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この調査は、不動産証券化事業の各種調整役をこなすアレンジャーや開発事業者となるデベロッパー、不動産投資を運用するアセットマネージャー、その他のエクイティ投資家など、不動産投資に関わっている事業体を対象に行っている調査なので、これらの不動産を純粋に投資対象と見ている人たちがどう評価しているのかが反映されます。つまり不動産市況の現状を把握するために適したデータのひとつといっても良いでしょう。

NOI利回りの下限値と上限値は次のようになりました。

・オフィス(東京 大手町)・・・・・・3.20~3.50%
・オフィス(大阪 全体)・・・・・・4.40~4.60%
・オフィス(名古屋 全体)・・・・・・4.80~5.00%
・賃貸マンション(ワンルーム 東京主要5区)・・・・・・3.85~4.15%
・賃貸マンション(ファミリー向け 東京城南・城西)・・・・・・3.95~4.30%
・商業施設(東京 銀座中央通り)・・・・・・3.20~3.50%
・ホテル(運営委託型 東京主要5区)・・・・・・4.75~5.20%
・倉庫(マルチテナント 首都圏湾岸部)・・・・・・4.00~4.20%

利回りと価格は逆相関するので、利回りが上昇するほど不動産価格は下落、利回りが低下するほど不動産価格は上昇するという関係にあります。したがって、NOI利回りの下限値と上限値の推移を見れば、不動産投資の参加者が直近の市況動向をどう考えているのかが分かります。

たとえば東京・大手町のオフィスのNOI利回りは、リーマンショック直後の2009年が4.50~4.80%まで上昇(不動産価格は下落)しましたが、2013年から徐々に低下(不動産価格が上昇)して、2019年7月調査分からは3.20~3.50%で、現在に至るまで横ばいが続いています。

下限値と上限値が2年半にもわたって横ばいになっているのは、2007年7月から見ても初めてのことです。それだけ市況は底堅いと見ることも出来ますが、コロナ禍の影響が読み切れず、方向感が出にくい状況にあるとも考えられます。

リモートワークの浸透により、オフィス戦略の見直しを検討している企業は少なくありません。リモートワークがこのまま定着するのか、それともコロナ禍が収束すれば再びオフィスに人が戻ってくるのか、そこが現状ではまだ読み切れていないのではないかと思われます。