リスクヘッジとしての資産運用

現在の日本で、すぐにでも預金封鎖が行われる可能性は低いでしょう。しかし、預金封鎖は予告なく行われます。ひとたび発令されれば、その後に資産を守ることはできないでしょう。安全だと思っていた銀行預金は、実はとても不安定な資産かもしれません。資産運用は、お金を増やすためだけでなく、資産を守るためでもあるのです。

預金封鎖に対抗できる資産は?

国のマイナンバー制度やキャッシュレス決済の推進は、国民の財産を把握する目的もあるといわれています。もし、預金封鎖や財産税が課されるなら、マイナンバーでひも付けられる財産は没収されるかもしれません。マイナンバーと無関係なタンス預金も、新紙幣が発行されると紙くず同然になってしまう可能性もあります。

現状、有効と考えられるのは仮想通貨(暗号資産)や200万円未満の金の現物などです。2013年のキプロスの預金封鎖では、ビットコインが富豪たちの資産の逃避先だったといいます。ただし、それらについても法改正で、保有状況がガラス張りになる可能性はあります。あくまで、「現状できること」というわけです。

不安をあおるような内容になってしまいました。しかし、起こる可能性は低くても、ゼロではありません。起きたときのダメージの大きさを考えると、適切な対策が必要ではないでしょうか。

執筆/松田聡子

明治大学卒業後、ITエンジニア、国内生命保険会社での法人営業を経て、2007年より独立系FPとして開業。コンサルティングの他、企業型確定拠出年金講師や執筆活動に従事。人生100年時代を最後まで自分らしく生きるためのお金のアドバイスと情報発信がライフワーク。日本FP協会認定CFP、DCアドバイザー、証券外務員二種。