資産の凍結を解決する方法はあるものの…

ただ、使い勝手は悪いのですが、資産の凍結を解決する方法はあります。それは、「成年後見制度」の「法廷後見制度」を利用することです。

後見人の選任を家庭裁判所に申し立てて、後見人を選任してもらい、親のお金を使えるようにします。とはいえ、申し立ての準備を始めてから後見人が選任されるまでには、時間がかかります。

なお、申し立てに必要な書類は……

戸籍謄本、住民票をはじめ、申立事情説明書,親族関係図,親族の意見書,後見人等候補者事情説明書のほか、資産状況(預貯金残高証明、不動産の登記事項証明書)、収支状況書類(年金額決定通知書,給与明細書,確定申告書,家賃,地代等の領収書など)、診断書などです※。

※出所:裁判所「後見/保佐/補助の開始申立手続に要する書類と費用(チェックリスト)

日頃から、親の状況を知っていないとこれらの書類を整理し集めるのには、軽く1カ月はかかってしまいます。提出後、選任されるまでさらに1~2カ月はかかります。

後見人を選定するのは家庭裁判所です。親の資産や家族間で介護やお金の使い方でもめていないかなど調べて、後見人を決定していきます。

介護に携わっている家族が後見人になりたいと願っていても、家族間に不和があり、資産が1000万円以上あると、家族が後見人になれることは少なく、見知らぬ弁護士や司法書士などが、後見人として選任されてくるようになります。そして後見人は、本人の代わりにすべての財産を管理します。預貯金(通帳や印鑑、キャッシュカード)、金融資産、不動産(権利書)、生命保険の証書などを持ち帰り、管理することになります。