相場下落も安定した現金収入と長期金利との差は投資妙味に

しかし、長期投資を前提にするのであれば、今年に入ってからの価格下落は、J-REITの投資妙味を高めていると考えることもできます。

1月21日時点のJ-REIT61銘柄の配当利回りは、平均で3.85%です。対して、日本の長期金利(10年国債利回り)は0.140%で、両者の間には3.71%の利回り差があります。もちろん長期金利が急上昇して3%、あるいは4%になれば話は別ですが、少なくとも消費者物価指数を見れば、日本の物価が安定的に2%の上昇率を維持できるようになるには、まだまだ時間がかかるでしょう。それを考えれば、長期金利との間に3.71%ものスプレッドがあるJ-REITの配当利回りは、安定したキャッシュフローを得るための投資対象として、かなりの妙味があると考えられます。

問題は銘柄選びですが、個別銘柄を選ぶのが大変であれば、東証REIT指数への連動を目指したETFを買うのもひとつの手でしょう。信託報酬という、ETFを運用するのに必要なコストが取られますが、それでも分配金利回りは3%台前半から後半の銘柄が多数あります。

J-REITに直接投資する場合のメリットは、銘柄によっては5%という高い配当利回りが期待できることです。ただし、高い配当利回りには相応の理由があって、たとえばファンドの組成に深く関与しているスポンサー企業の信用力が低い恐れがあります。

ちなみに、1月21日時点で最も配当利回りの高いJ-REITは「マリモ地方創生リート投資法人」の5.98%ですが、同投資法人は格付を取得していません。格付を取得していないから財務的に不安定だとは言い切れませんが、客観的な情報として財務面の格付けを取得しているJ-REITの方が安心できます。

特に長期投資を前提に個別銘柄に投資する場合、運用の継続性が重要になってきますので、第三者の格付を取得しているかどうか、取得している場合はそれが高いのかどうかは、長期で保有し続けるための安心材料になるので、個別銘柄のホームページに掲載されている格付情報には必ず目を通すようにしてください。