65歳で受給方法を決める必要はない
このように繰下げ受給制度について改正される部分、変更のない部分がありますが、いざ65歳を迎えると、実際に繰下げをするかどうか、悩む方も多いでしょう。「長生きをするかどうか分からない」と思うかもしれませんし、「70歳定年時代」を迎え65歳以降も働くかもしれません。65歳からの年金について65歳時点で、65歳受給開始(繰下げなし)で手続きをすると、ここで65歳受給開始が“確定”してしまいますので、後で繰下げ受給に変更することはできません。
もし、繰り下げるか否か決めかねた時はどうしたらよいのでしょうか。その場合、65歳時点では受給の手続きをしないことです。そうなると繰下げのために待機している扱いとなりますが、その後になってから、繰下げをせずに65歳受給開始(繰下げなし)で受給方法を選択することも可能です。
どういうことか具体例とともに解説します。例えば、68歳0カ月時点まで手続きをせず繰下げ待機していたのであれば、その時点で、①68歳0カ月からの繰下げ受給(0.7%×36カ月で25.2%増額)か、②65歳にさかのぼって65歳開始(増額なし)か、いずれかを選択できることになります。65歳にさかのぼる場合、68歳時点では65歳から3年が経過していますが、過去3年分の増額なしの年金を一括で受給し、68歳以降も増額なしの年金で受給することになります。
例:68歳0カ月時点で老齢基礎年金・老齢厚生年金の繰下げ待機をしていた人の場合
①68歳0カ月で繰下げ受給(25.2%増額)する方法
②65歳受給開始(増額なし)としてさかのぼって受給する方法
※①、②はいずれか選択可能。なお「老齢基礎年金は①、老齢厚生年金は②」で選択することも、 「老齢基礎年金は②、老齢厚生年金は①」で選択することも可能。