公務員は勤め先でのiDeCoの利用準備が整っている!

なぜ、これほどまでに公務員の皆さまにiDeCoが普及しているのでしょうか? 公務員の退職金や年金の制度が改正されたから、だとか、定年の引上げで若いうちから老後のことを考えるようになったから等、いろいろと理由はあるかと思います。でも、公務員の場合、お勤め先でiDeCoを利用するための準備が整っている、そんな側面があるかと思います。どういうことなのか、ご説明しましょう。

まず基本的なことではありますが、iDeCoの積立方法は、本人名義の預貯金口座から掛金を引き落とす「個人払込」と、iDeCoを利用する社員の掛金をお勤め先がまとめて払い込む「給与天引き」の2パターンがあります。どちらの方法にしても、お勤め先ではiDeCoの事業所登録という手続きが必要になります。その事業所登録、民間企業だと「iDeCoをやりたい!」と最初に手を挙げた社員のiDeCo加入時に行うのが一般的です※2

※2 iDeCo+(イデコプラス、社員のiDeCo掛金に会社が掛金を上乗せする制度)を利用する場合、民間企業でもiDeCoの事業所登録を前もって行うケースがあります。

一方、官公庁や地方公共団体、国公立の学校等では、公務員が「iDeCoをやりたい!」と手を挙げる前に、iDeCoの事業所登録という手続きを完了しておかなければなりません。「公務員はお勤め先でiDeCoの利用準備が整っている」というのは、こういうことなのです。実際、公務員のお勤め先では、iDeCoが解禁された2017年1月には、5000を超える事業所がその手続きを終えていました。

また、2021年12月末時点で、iDeCoの利用準備が整っている公務員のお勤め先は9458まで増えています。そのうち「個人払込」のみが6189(65%、9458の事業所に占める割合、以下同じ)、「給与天引き」のみが277(3%)、「個人払込も給与天引きも、どちらでもOK」が2992(32%)です。つまり、「給与天引き」でiDeCoが利用できる公務員のお勤め先が4割弱、これは民間企業に比べてかなり高い水準だと思います。勤め人にとって「給与天引き」は最強の貯蓄法だと言われますので、公務員のiDeCo利用率が高いのは、こんなところにも理由があるのだと思います。