DC制度、今後の課題

以上から、長期運用によってDCが大きな老後の備えになりうることがわかります。そのため、たとえ少しの金額でも早く始めることがとても重要で、逆に放置することは最も避けたいことです。しかしながら、実は放置している方が意外と多くいるのが現状です。ここからはそんな課題についてお伝えしていきます。

「自動移換」という言葉をご存知でしょうか? 自動移換とは、自分のDCの資金が自分のものと見なされない状態になることです。例えば、企業型DCに加入していた人が、フリーになったり転職先の企業にDCがなかったりした場合、iDeCoに加入手続きをしなければならないにもかかわらず、6カ月以上放置してしまうと、資産が現金化されて国民年金基金連合会に自動的に移されてしまいます。自動移換されると、本来自分のものであるはずの資金が、手続きをしない限り手元に戻ってくることはなく、さらに加入期間にもカウントされなくなってしまいます。そのため、加入期間が足りなくて、資金を受け取りたいときに受け取れないということにもなりかねないのです。

では、自動移換してしまった方は何人くらいいるのでしょうか? なんと、現在自動移換者の数は約100万人にもなっています。加入者1000万人の時代に加入者と見なされない自動移換者が100万人も存在しており、移換された資産額はおよそ2,400億円にものぼっています。自動移換者は早く資金を取り戻す手続きをしていただきたいですし、大切な自分のお金をきちんと守り、管理していただきたいと思います。

最後に

DCは素晴らしい制度ではありますが、自分以外誰も手続きやケアをしてくれません。また、年金資金は一朝一夕には育たないものですから、将来の自分のために自分の手で大切に育てていっていただきたいと思います。