2001年にスタートし、20周年を迎えた確定拠出年金制度(以下、DC)。企業型確定拠出年金(以下、企業型DC)と、個人型確定拠出年金(以下、iDeCo)がありますが、トータルの加入者数は1000万人近くにのぼり、多くの人の資産形成に影響を与える存在になりました。そんな節目だからこそ見つめたい確定拠出年金制度の現状や課題、今後の可能性について、確定拠出年金教育協会理事長の齋藤順子氏に解説してもらいました。
※この記事は、2021年12月に実施したフィナシー・セミナー「加入者1000万人時代の確定拠出年金」をダイジェストにして記事化したものです。ぜひ本稿とセットでこちらのセミナー動画もご視聴ください。
加入者1000万人時代のDC。その平均資産額は?
DC制度のスタートから20年、その加入者数は2021年3月末時点で約1000万人にのぼっています。内訳としては企業型DCが約750万人、iDeCoが約200万人となっており、その数は年々増加しています。公的年金に加入している等DCの加入資格がある方は約6700万人ですので、6人に1人、7人に1人が加入する大きな制度になっています。
では、その資産規模はどうなっているのでしょうか。2020年3月時点で、1人あたりの企業型DCの平均資産額は約182万円、iDeCoでは約98万円となっています。そこまで大きな額ではないと思う方もいると思いますが、これはあくまでも平均です。年代別では、例えば50代の企業型DCの平均資産額は約358万円。60代では約407万円となっています。iDeCoについても60代で341万円となっており、まとまった金額になっていることが分かります。
日本より30年ほど早く確定拠出年金制度を導入したアメリカでは、平均資産額が約1000万円となっており日本の5倍もの水準にまで貯まっていることになります。日本とアメリカは、公的年金制度に対する考え方の違いやDC掛け金の非課税金額の大きさも異なりますので、平均額だけで制度活用の巧拙を単純に比較できるものではありません。
ただ、資産は長い年月をかけることで大きな資金に成長していきますので、DC制度をどう活用していくかにもっと関心を持っていただきたいと思っています。