テーパリングと利上げは米国経済にどんな影響を及ぼすか

12月のFOMCの発表によると、2022年3月に金融緩和政策を縮小させる出口戦略「テーパリング」を終了させた後、早期の「利上げ」を視野に入れているとの発表がありました。

利上げ回数の見通しとしては現段階では2022年3回、23年3回が有力です。こうしたことから、2022年の米国経済は「テーパリング」と「利上げ」の2つが最重要ポイントといえます。

テーパリングや利上げの実施で起こりうるシナリオとしては、コロナ以降、米国経済の指数に投資をするインデックス投資が最も効率的だった時期が過ぎて、株価にもテーパリングと利上げの影響が徐々に織り込まれる展開になる可能性が考えられます。それはすなわち、2022年の米国経済はセクターによってパフォーマンスが異なる難しい1年になると予想されるということです。FRB(連邦準備理事会)の金融政策の舵取りが非常に重要になるため、パウエルFRB議長の発言に世界中の金融関係者や投資家の視線がいっそう集まるはずです。その内容によって株価も敏感に反応するため、短期的にはマーケットが乱高下する展開もありえます。

おわりに
今回は12月の米国マーケットの振り返りと1月の見通しについて解説してきました。投資をする上で大切なことは短期トレンドと長期トレンドの2つの視点だと思います。短期で見れば様々な懸念材料があるものの、FOMCは2022年の米国の経済成長率を+4%と予想しています。長期で見れば米国経済は2020年3月を起点に強気相場入りしています。

通常、強気相場は7~10年ほど続くことが多く、その間、株価の調整時期は何度も訪れるものの、米国経済の強さは今後も続くと考えられます。実際、次世代技術をリードする米国は少なくとも今後10年、20年先の資本主義経済を引っ張る存在であり続けるはずです。また先進国の中で米国は人口増加を続ける若い国であり、歴史上、人口減少した国で経済成長が続いた国は存在しません。米国の未来は明るいといえるのです。

日本人が資産形成を考える上で、好条件が揃う米国はとても魅力的な国といえるのではないでしょうか。

 

執筆/鈴木 林太郎

金融ライター、個人投資家。資産運用とアーティスト作品の収集がライフワーク。どちらも長期投資を前提に、成長していく過程を眺めるのがモットー。Webメディアを中心に米国株にまつわる記事の執筆多数。