安心を買うつもりで追納を!

追納すれば、18カ月分・30万円弱の保険料で老齢基礎年金は1万4642円が増えます。長寿国日本で何歳まで生きるかわからない中、老後の備えとしての貯蓄や投資で増やした資産には限りがあり、企業年金等も有期年金であることが多いですが、公的年金は生涯にわたって受給できるものです。受給額の増額分は1年あたりでは1万4642円でも、90歳まで生きれば65歳から90歳までの25年間、36万円以上の年金が増額することになります。特に女性は男性より長生きします。医学の進歩もあって、さらに長生きした場合でも終身の保障として安心できるでしょう。

また、60歳までに老齢基礎年金を満額にしておけば、60歳になってから「もっと年金を増やしたい!」と思った時に増やすこともできます。60歳時点で老齢基礎年金が満額の場合や60歳以降厚生年金に加入した場合は国民年金の任意加入はできませんが、60歳以降働き続けて厚生年金に加入すると、60歳前と異なって老齢基礎年金は増やせない代わりに、老齢基礎年金に相当する経過的加算額※を増やすことができます。

※経過的加算額(2021年度)=A-B
A:1628円×厚生年金加入月数(上限480)
B:78万900円×20歳以上60歳未満の厚生年金加入月数/480

●厚生年金加入によって増える年金の種類

筆者作成

60歳以降の厚生年金加入でAが増え、Bは増えないことにより、経過的加算額が増額する仕組みです。ただ、追納していなかった場合は、最初の9か月(18か月×1/2)分の経過的加算額1万4652円(1628円×9月)は足りない分の老齢基礎年金(1万4642円)の穴埋めという形になります。もちろん、これでも年金は増えてはいますが、もし18カ月分が追納済であれば、60歳時点で老齢基礎年金は既に満額で、穴埋めも終了していることになり、60歳以降の厚生年金加入で最初から穴埋め分を超えた年金を増やすことができます。

経過的加算額は厚生年金加入が合計480月に達するまで増額できます。富山さんがこのまま60歳まで会社員として勤務した場合、60歳当時の厚生年金加入期間は435月(480月から免除を受けた18月と学生期間27カ月を除いた期間)ですので、45月の厚生年金加入分まで経過的加算額を増やすことができます。

なお、厚生年金加入により報酬比例部分の老齢厚生年金も増えます(2階建ての2階部分。480月の上限はなし)。60歳以降も働く時代、厚生年金に加入する機会も増え、結果的により多く年金を増やせるでしょう。