保険料の免除と追納制度とは何か

かつて退職後に国民年金保険料の全額免除を受けていたとのこと。全額免除となった期間は、将来の老齢基礎年金の受給額について、納付した場合の2分の1が反映されます。

そのため、20歳以上60歳未満(480月)のうち、全額免除18か月を除いた462月について保険料納付(国民年金・厚生年金)があった場合、老齢基礎年金は76万6258円(78万900円×(462月+18月×1/2)/480月)になり、免除申請をせず未納だった場合の75万1616円(78万900円×462月/480月)と比べれば、受給額も多くなります(いずれも2021年度の額で計算)。18カ月分を全く払っていなくても2分の1の年金が保障されるため、その点は安心できます。しかし、満額78万900円(78万900円×480月/480月)より1万4642円少なくなるのも事実です。

国民年金保険料の免除を受けた場合、10年以内であれば保険料を追納することができ、追納すれば「保険料納付済期間」と扱われます。18カ月分追納すると受給額は残り1万4642円増え、満額で受け取ることも可能です。しかし、10年を過ぎると過去の免除期間の保険料は納められなくなります。

50代になった時、年金や退職後への不安が大きくなる可能性が

現行制度上、20歳以上60歳未満の間に免除・猶予期間、未納期間があると、60歳以降にその穴埋めをすることが可能となっており、厚生年金加入中でない場合、最大65歳まで国民年金に「任意加入」して国民年金保険料を納め、老齢基礎年金を増やすことができます(厚生年金加入による増額については後述)。

リタイアが見えてくる50代になると、年金のことが本格的に気になる方も多いのですが、20代の頃の追納していない保険料は50代になってからではもう納めることができません。一方、その過去の足りない分についての任意加入による納付は60歳になるまではできず、それまでの間、足りない期間があることに対しモヤモヤし続けることになるかもしれません。また、足りない分を納める場合、60歳を迎えて以降の保険料額で納めることになります。60歳になる20数年後、保険料がいくらになっているかもわかりません(現在より上がる可能性も十分あります)。

年金は原則として保険の仕組みを採っていますが、「保険は安心を買うもの」とも言われます。追納して早めに免除期間から納付済期間にしておけば、後になってから、過去の足りない期間の存在が気にならなくなり、満額より少ないことへの不安もなくなるでしょう。そういった意味でも追納制度で保険料を納付することは保険となりえます。