〜運用プロセスと情報開示の評価〜

前回の「アクティブファンドの運用力の評価(前編)」では、初めに評価手法の概要をご説明しました。その上で、運用者の働きやすさや働く意欲に大きく影響する運用体制の評価についてお話ししました。

今回の(後編)では、運用力の評価で最も重要な運用プロセスと、評価全体の精度に関わる情報開示について考えます。

運用力に直結する運用プロセスと自信の表れである情報開示も評価

運用体制の評価と同様に、運用力の源と考えられる事象の有無を確認

本稿で私がご提案するアクティブファンドの運用力評価は、前回もご説明した通り以下の17の評価項目から構成されます。今回の後編では、ハイライトしている12項目について、私が考える評価理由と判断基準をご説明します。

なお、前回もお話ししました通り、この評価方法では、運用力そのものの優劣を判定するのではなく、運用力に資する可能性の高い事象の有無を確認し、確認できた場合には加点する方式を提案いたします。運用力にプラスに貢献する可能性の高い事象の有無で基準を設けているため、判断に迷うケースは少ないと考えます。さらに、全体を加点方式とし、事象が確認できない場合には加点しないように採点を進めるため、公開情報のみでも評価が可能です。評価する上で知りたい情報が開示されておらず、判断できないファンドは、低い評価しかされないようになっています。

筆者自らが行う場合には、まずは項目ごとに1−5点で採点を行います。情報不足などで評価不能の場合は1点とします。合計点が満点である5点×17項目=85点のうち何%となったかで投資の可否を判定する絶対評価方式を採用します。少なくとも50%超、できれば60%超のスコアを獲得したファンドを最終候補と考えます。

次ページ以降でリストアップしている判定基準は、読者の皆様が利用される場合には、追加あるいは削除するなどアレンジを加えてもよいと思われます。ただし、言うまでもありませんが、どのファンドも同じ判定基準に沿って採点することが重要です。採点の方法としては、判定基準が2項目であれば、両方を充足すれば満点の5点、片方のみであれば3点、両方当てはまらない場合には1点とするようなやり方が考えられるのではないでしょうか。