一般投資家が実行可能なアクティブファンドの定性評価の条件

それでは読者の皆様が“優れた”アクティブファンドを選定するために不可欠な定性評価を行うためにはどうすればよいでしょうか。考え方としては2通りです。

(1) ご自身でやり方を工夫して定性評価を行う
(2) 評価機関による定性評価結果を利用する

(2)が容易に思えますが、実行に際しては様々なハードルがあり、あまり現実的な選択肢ではありません。詳しくは回を改めてお話しします。

(1)の読者の皆様ご自身で行う定性評価について考えてみましょう。前述のように評価機関などプロが行う定性評価に関しても教科書や参考書はありませんので、一般の投資家の方向けの手引き書も当然存在しません。

そこで本稿では、おそらく世界初の試みとして、一般投資家の皆様向けに、ご自身でアクティブファンドの定性評価を行うために最適と思われる評価方法をご提案します。この手法は、筆者が8月まで在籍した有力評価機関の立ち上げに向けて当時のメンバーと共に確立し、20年以上にわたって利用され、その付加価値をお客様に認めていただいた評価方法を、筆者が25年のファンド分析評価経験に基づいてシンプルに改良したものです。読者の皆様にもご利用いただけるように、当該評価手法は以下の条件を満たしています。

・様々なタイプのファンドに利用/応用できること
・今後の好パフォーマンスの可能性判定に直接影響する評価項目で構成されていること
・公開情報のみで評価の実施が可能であること
・比較的判定が容易な評価項目(注5)が中心となっていること
・採点対象となる評価項目数が多くなり過ぎないこと

(注5)例えば、「運用者の能力の優劣」を判断することは非常に難しいですが、「当ファンドの運用実績以外の運用者の能力の高さを示すデータや事例の有無」であれば比較的容易に判定できると思われます。

次回以降、3回に分けてこのシンプルなアクティブファンドの定性評価手法をご紹介します。