公務員のiDeCo掛金上限金額が月額2万円になるカラクリ
公務員の場合、企業型DCはありませんので、「各月の企業型DCの事業主掛金額」はゼロになります。あとは「DB等の他制度掛金相当額」がいくらになるのか、ということですが、厚生労働省の審議会資料には「DBには年金払い退職給付を含む」との注釈がありました。つまり、年金払い退職給付の掛金が月額3.5万円を超えなければ、iDeCo掛金の上限金額は月額2.0万円になるのです。
ちなみに、年金払い退職給付とは、平成27年10月に共済年金が厚生年金に統合された際、新たに創設された公務員(共済組合員)独自の制度です。ざっくり言えば、労使折半で毎月、給料とボーナスの1.5%を60歳まで積み立てて65歳から受け取る、そんな年金制度になります。例えば、年金払い退職給付の掛金が月額3.5万円になる場合、年収はどれくらいになるのでしょうか?簡単な試算をしてみましょう。
①掛金の年額を計算すると、
月額3.5万円 × 12ヶ月 = 年額42万円
②掛金の年額を1.5%で割り戻して年収を計算すると、
年額42万円 ÷ 1.5% = 年収2800万円
つまり、年収が2800万円を超えると、年金払い退職給付の掛金は月額3.5万円以上になる、ということです。そして、月額3.5万円を超えた分だけ、iDeCo掛金の上限金額は月額2.0万円よりも少なくなるのです。でも、年収が2800万円を超える公務員って……、そうそういないですよね。ですので、公務員のiDeCo掛金の上限金額は、“実質的”に月額2.0万円に引き上げられる、と思うのです。
なお、公務員(共済組合員)の「DB等の他制度掛金相当額」は、正確には「共済掛金相当額」と言うそうですが、その詳細は、今後、厚生労働大臣の告示により明らかになる予定です。でも、「iDeCoは掛金が少ない!」と嘆いていらっしゃる公務員の皆さまには朗報だと思いまして、少し早めにお伝えした次第です。ご参考になれば幸いです。