10月30日に米投資信託協会(ICI)が2025年9月の投信市場データを公表しました。7-9月期の株式市場は米テクノロジー企業を中心に堅調な動きとなり、米ミューチュアルファンド、ETFもその恩恵を大きく受けたようです。代表的な米国株価指数をみると、NYダウ平均株価が3カ月で5.2%の上昇、S&P500指数が7.8%、ナスダック総合指数は11.2%といずれも大幅な上昇となりました。米ミューチュアルファンドの残高は、株式ファンドの値上がりなどから2四半期連続で過去最高を更新し、初めて30兆ドルの大台を突破しています。以下、7-9月期のミューチュアルファンドとETFの動向を確認していきたいと思います。
ミューチュアルファンドが初の30兆ドル突破
2025年9月末時点のミューチュアルファンドの残高は前期(6月末)比+3.6%の30.8兆ドルと初めて30兆ドルを突破し、2四半期連続で過去最高を更新しました。年初の株価低迷で1-3月に残高減少に見舞われたものの、その後の株価反発とともに順調に残高を拡大しています。図表に示した5つの分類で最も増加率が高かったのが国際株式型で前期比+4.9%の3.6兆ドルとなっています。次いで、MMF型が同+4.2%で、残高は7.3兆ドルに達しています。米連邦準備理事会(FRB)が9月16-17日に開催した米連邦公開市場委員会(FOMC)で9カ月ぶりの利下げを行ったものの、MMFは13四半期連続の増加となりました。MMFは値上がり益が限定的であることから、引き続き高水準の資金が向かっているものと考えられます。一方で、増加率が最も低かったのが米国株式型(米国株ファンド)で、7-9月期は+2.9%の増加にとどまりました。同カテゴリーの残高は12.7兆ドルと、依然としてミューチュアルファンド全体の4割強を占めているものの、そのシェアは徐々に低下している状況です。
米国株ファンドから過去最大の資金流出
続いて、ミューチュアルファンドの資金フローの動向を見てみましょう。7-9月期における資金フローは、全体で-2296億ドルの資金流出と、3四半期連続のマイナスとなりました。MMFが+2500億ドル、債券型が+802億ドルと資金流入を記録する一方で、株式型、バランス型には高水準の利益確定売りが広がったようです。すでに指摘したように、米国株式相場が極めて堅調に推移する中で米国株ファンドの残高増加率が限定的となった背景には、7-9月期における資金流出額が過去最大となったことが背景にあります。米国株式型からの資金流出額は-5043億円に達しており、グラフでも確認できる通り、これまで最大だった2024年10-12月の-1989億ドルを大きく上回る資金流出額となりました。日本の投資信託の資金フローにおいて、日本株ファンドが逆張りで活用される特徴があるように、米ミーチュアルファンドにおける米国株ファンドも上昇した場面では大きく売られる対象になりつつあると言えるのかもしれません。
なお、長期投資信託(MMFを除くミューチュアルファンド)に限ってみると、資金流出は16四半期(4年間)連続となっています。この点は、過去の当連載でも解説したように、長期投資信託を活用した資産形成を進めてきたベビーブーマー(出生率が上昇した1946年から1964年に生まれた世代)の資産の取り崩しといった要因に加えて、上場投資信託(ETF)や集団投資信託(CIT:Collective Investment Trust)と呼ばれる新しい金融商品に資金がシフトしているものと思われます。
ETFへの資金流入続き、残高は12兆ドル突破
9月末時点の米ETFの残高を見ると、8四半期連続で増加し、12.6兆ドルと過去最高を更新中です。2024年12月末に初めて10兆ドルの大台に到達したばかりですが、その後も急ピッチで市場が拡大しており、長期投資信託との残高との差は急速に縮小しています。また、ETFと長期投資信託の資金流出入(ETFの場合は、Net Issuanceのデータを使用)を見ても、7-9月に長期投資信託が-4780億ドルの資金流出となる一方で、ETFは+3661兆ドルの資金流入と対照的な動きとなっています。日本では、ロボアドなどの金融サービスにおいて、利便性の高いETFが活用されているケースもありますが、米国の状況と比べるとETFへの投資はまだまだ限定的です。しかし、米国だけでなく欧州でも投資信託からETFへの資金シフトは見られており、投資家タイプごとにどのような形でETFを利用しているのか、知っておくことは極めて重要と言えるでしょう。




