「純資産残高1兆円」は、日本の投資信託を語る上で欠かせない1つのメルクマールであると言えるだろう。筆者が調べたところ、ETFを除く追加型公募投資信託で、純資産残高が1兆円に到達したことがあるファンド(月末ベース)は計16本あった。

直近6月23日には、「アライアンス・バーンスタイン・米国成長株投信Dコース毎月決算型(為替ヘッジなし)予想分配金提示型」(アライアンス・バーンスタイン)が、2014年9月の運用開始から7年弱の年月を経て「1兆円ファンド」の仲間入りを果たしたほか、今年4月に一度1兆円の大台を超えた「グローバル・プロスペクティブ・ファンド」(日興)も、6月25日に再び「1兆円ファンド」に返り咲いた。

投資信託の残高は大きければ良いわけでもない

先に言っておくと、投資信託の純資産残高は、大きければ大きいほど良いというわけではない。スムーズな運用ができる規模は投資対象によって異なるからだ。また、流動性の低い新興国株式や中小型株など、投資している資産によっては、残高を小規模にとどめざるを得ないケースもある。

このように、必ずしも全てのファンドが1兆円規模の残高を目指せるわけではないにもかかわらず、「1兆円ファンド」が注目されるのは、その時代時代の投資信託市場のトレンドを形成した、象徴的なファンドとしての意味合いが強いからであろう。ともあれ、「1兆円ファンド」の変遷を追っていくと、当時のマーケット環境をはじめ、その投資信託が支持を集めた背景なども浮かび上がってくる。

そこで今回は、先述した「残高1兆円に到達したことがあるファンド」16本の「1兆円に到達した時期」から、投信市場のトレンドの移り変わりを振り返ることとする。