今でも受け継がれているT.R.プライス Jr.のDNA

T.R.プライス Jr.の言葉に次のようなものがある。「変化こそが、投資家にとっての唯一の確かなことである」「歴史や経験からすれば、株式の投資タイミングやサイクルを正確に予測することは不可能だ」「投資における成功は、完全かつ正確な情報に基づく理解と、健全な投資判断にかかっている」。

これらの言葉は金融市場がパニックに陥ったときでも、運用を担当するファンドマネジャーが常に冷静な判断をすべきことの重要性を伝えている。投資家にしても同様だろう。実際、1930年代の世界恐慌やその後の第二次世界大戦、1970年代の異常なインフレなど、金融市場の先を見通すことが困難となった時期でも、T.R.プライス Jr.は顧客に冷静なレポートを送ることを欠かさず、最善の選択を訴えてきた。

T.R.プライス Jr.は、顧客への正確な情報提供を最も重視していた

こうした投資哲学は今も健在だ。2020年の「コロナショック」で世界中の株式市場が暴落したときも、ティー・ロウ・プライスの運用責任者の1人は、「ここからの下落の責任は私が負う。将来を見据えて買いたいと思う銘柄を根拠とともに提示してほしい」とすべてのアナリストに伝えたという。運用会社の伝統とは、こういうことなのだろう。