分からない中でも、非課税制度である一般NISA口座を作ったのは正解!

まずは一般NISAのおさらいからしましょう。一般NISAとは、年間120万円まで、一般NISA口座で購入した株式や投資信託等の配当金、譲渡益、分配金が最長5年間非課税になる制度です。知世さんは、実のお母様の勧めで、銀行で一般NISA口座を開設し、一般NISAを始めたとのこと。

NISA制度の内容を深く理解できず商品を購入し、そのまま現在に至ったのではないかと推測します。

知世さんに限らず、NISA口座開設時によくあったことで、NISA制度を分からなくて始められためた方の多くは、知世さんのように言われたとおり商品を購入された方もいれば、流行に乗って口座開設のみしたものの商品は買えないでいる方もいて、問題となっていました。

知世さんの場合は、分からないにしても、きちんと商品をお買いになってお金を増やしていたので、その点は素晴らしいです。

ただ、投資は初めてで、購入された商品についてはよく分からなかった知世さん。年金生活をされているお母さまが実際に購入され、お母さまから勧められた、毎月分配型の外国債券投資信託をお求めになっていたとのこと。果たしてこの商品が、これからの知世さんの「老後のお金を作る」という人生の目的に合っていているかどうか、見ていきたいと思います。

「分配型」投資信託は、将来の老後資金を作る目的にはそぐわないかも

まず、知世さんの今回の目的は、「老後のお金を作りたい」ということでした。お金が必要なのは、「今」ではなく、「将来のご自分」ですね。現在48歳の知世さんは、年金がもらえる65歳まで17年あります。つまり、「65歳までにたくさんお金が殖えていく『制度と商品』を見つけていくこと」がポイントです。そういう点を踏まえて、一般NISAで購入している商品「外国債券(毎月分配型)」の特徴を見ていきましょう。

「毎月分配型」の商品は、毎月一定額を受け取ることができるので、知世さんにとっては、毎月おこづかいがもらえるようで、楽しみにされていませんでしたか。お金を預けるだけで、毎月お金がもらえるなんて嬉しい、そうお感じになるのはよく理解できます。

特に年金だけでは生活を維持していくことが難しくなっている昨今です。老後に使うために貯めたお金でも、毎月少しずつ取崩していくのはなんだか忍びないものです。だから預けるだけで毎月年金の足りない部分を補ってくれる「毎月分配型商品」は、年金生活者にとっては心強い商品の1つです。

では、48歳の知世さんはどうでしょうか?「将来の自分のためにお金を殖やす」という点から考えると、毎月一定額をもらえるということは、相場の良いときは配当や分配金から払い出されるため、老後のお金の増加は小さくなります。

さらに、相場が悪いときは元本から払い戻している(元本が減っている)場合があります。配当金や分配金を、今もらってしまう場合と、貯めておいてさらに複利で増やしていったものをまとめて後から受け取る場合と比べて、トータルでどちらが多いかということです。

そういう視点から考えると、毎月分配型の商品は、「老後(将来)にお金が貯まる商品ではない」ということがお分かりいただけると思います。よって、知世さんの目的から考えると、将来のために殖やせる商品に変更することがいいでしょう。