2021年2月スタートの大河ドラマの主人公で、今注目の人物といえば渋沢栄一。2024年に刷新される一万円札の肖像画にも決まっています。日本の「資本主義の父」といってもその活動はあまり知られていません。一体どんな人だったのでしょうか?

「ここから自分は別個の人間になろう! これからは日本のために尽くすのだ」

米国のペリー総督が来航し、世の中の大人が恐怖と混乱で右往左往する中、こう青天に誓った14歳の少年がいました。後に日本の資本主義の父と称されるこの少年・渋沢栄一は、埼玉県深谷市の藍玉を扱う裕福な農家に生まれました。13歳で実家の商売をまかされるほど頭脳明晰な栄一は、『論語』を愛する一方で理不尽な侍に反抗するなど反骨精神も併せもつ青年に成長します。

一時攘夷運動に身を投じるも断念、紆余曲折あってのちの15代将軍・一橋(徳川)慶喜に士官します。一橋家では実家で培った商才を発揮して頭角を表し、27歳の時にパリの万国博覧会に慶喜の弟徳川昭武の庶務・会計係として随行するチャンスを得ます。後に「自分の一身上一番効能のあった旅」と述べたように、これが彼の人生の最大転機となりました。

欧州の近代的な国家に衝撃を受けた栄一は、帰国したのち官僚を経て民間銀行を設立。ここから人並外れた行動力で大事業家へと駆け上がっていったのです。彼は生涯で約500の企業を設立、約600もの社会公共事業にも関わりました。ここからは栄一が育てた投資・マネーに関わる会社、団体を4つご紹介しましょう。